高齢者のSNS利用をもっと身近に簡単に!~家族向けSNS「あんしんクラウド」
2017年02月06日Net IB News
現在、日本国内におけるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用者数は年々増加している。SNSの利用者は、元々は10代や20代などの若年層が多かったが、スマートフォン(スマホ)の普及が進んだことや、SNS利用が当たり前になってきた風潮もあって、今では50代以上の年齢層にも拡大。登録者数や利用者数ともに増加傾向にある。
(株)ICT総研(東京都千代田区)の調査によれば、このままSNSの普及が進めば、2018年末には利用者数は7,486万人、ネットユーザー全体に占める利用率は74.7%に達する見通しだという。
だが、そうして普及が進んではいるものの、高齢者は依然としてスマホの操作に不慣れで、なかなかSNSには手を出しにくいのが実情。
一方で、そうした高齢者を親に持つ子ども世代にとっては、離れて暮らす親の暮らしぶりが気になるものの、距離的な問題や忙しさなどにかまけて、そうそう頻繁には連絡が取れない。そんな事情をお持ちの家庭も多いのではないだろうか。
そうした背景から開発されたのが、家族向けSNS「あんしんクラウド」である。「あんしんクラウド」は、従来の「何かあってから」通知して対処する見守り方法ではなく、“何もなくても”その日の変わりない様子を伝えることで、“ほんのり”と安心してもらうことを目指したシステム。スマホが苦手な親世代のために、周囲の第三者がお手軽に見守りに参加できる仕組みも提供することで、遠く離れて暮らす高齢者への「心配」を「あんしん」へと変える家族・地域コミュニティ向けのSNSとなっている。
具体的には、事前に登録された家族だけが参加するSNSで日々の様子のやりとりを行うもので、スマホに不慣れな高齢者でも、表情や活動を表すスタンプだけで簡単に様子を伝えることが可能。また、「周囲の第三者が代わりに匿名でSNSに投稿する」機能が用意されており、簡易的な高齢者見守りシステムとしても活用できる。周囲の第三者(協力者)は、会員登録やログイン等の事前準備は不要で、QRコードを読み取れる携帯電話かスマホがあれば、すぐに使い始められる。
他のSNSやコミュニケーションアプリとは違い、限られた家族間でのやりとりとなるため、詐欺や迷惑業者とのトラブルを心配することなく、安心して使うことができるというものだ。
機能としては、その日に撮った写真や表情スタンプで簡単に作成することができる一言日記の「あんしん ひとこま」や、事前登録した家族間で使えるチャット機能の「あんしん お茶の間ト~ク」の2つの基本サービスを標準装備。そのほか、オプションで「あんしん お立寄り」「あんしん お出かけ」というサービスが用意されてあり、地域コミュニティとの連携も可能となる。
こうした機能やサービスが評価され、「あんしんクラウド」は「平成28年度福岡市トライアル優良商品」にも認定された。
この「あんしんクラウド」を開発したのは福岡市中央区に事務所を置く(株)コンロッド。社名に冠している「コンロッド」とは自動車のエンジンなどに用いられる部品の名称であり、ピストンとクランクシャフトとを結ぶ連結棒のこと。ピストンの上下運動をクランクシャフトへ回転運動として伝達するという、非常に重要な役割を担っている部品だ。
同社代表取締役社長の松山友一氏は、「開発に至ったきっかけは、やはり自分自身、離れて暮らす両親の日々の様子が気になっていたことからです。今はSNSの普及で、人と人とのコミュニケーションがネットを介して行いやすくなった半面、そうしたネットやSNSに疎いご高齢者とのコミュニケーションが、以前より希薄になってきているようにも思います。
あんしんクラウドはそうしたご高齢者のSNSに対する敷居を下げることで、家族間のコミュニケーションをより密にしていくためのツールとなれば幸いです。そのほか、たとえば訪問介護サービスや介護施設などでもご活用していただけるとありがたいですね」と語る。
同社ではこの「あんしんクラウド」のほか、「あんしんうんどうアプリ」や「あんしんスナップ」といった、高齢者の健康寿命を延ばしたり、高齢者に対してコミュニケーションのきっかけをつくったりする手助けを行うアプリを順次開発。社名の通り、高齢者と家族や地域などを“つなぐ”サービスを今後も提供していく考えだ。
今まで気づかなかった生活の変化などを察知し、病気の早期発見や介護予防につなげるなど、「何かあってから」対処するのではなく、普段からコミュニケーションを行っていくことで、不測の事態を未然に防ぐ。「あんしんクラウド」はそうした日々のコミュニケーションツールとして、役立ってくれることだろう。