高齢者が購入で見守りメール いちい、移動販売で新サービス
2017年02月02日福島民報
スーパーのいちい(本社・福島市)は今年夏から一人暮らしの高齢者や体の不自由な人の安全・安心の確保に向けて東邦銀行や東邦カード、JCB(本社・東京都)と提携し、移動販売車での購入履歴を離れて暮らす家族へ即座にメールで配信する全国初のサービスを始める。業種の枠組みを超えた福島発の支援モデルとして全国に浸透させる。
いちいの伊藤信弘社長らが1日、県庁で記者会見して発表した。
利用者が預金口座から即時に現金が引き落とされるJCBの東邦Alwaysデビットカードで、いちいの移動販売車で買い物をすると、支払い手続きと同時に事前登録した家族や親族らに利用通知メールが届く。遠距離に住んでいても購入履歴の定期的な配信により安否を確認できる。登録は無料。内容に購入した商品名を含めるかなどは今後検討する。
いちいの移動販売車は、家庭を訪問して野菜や果物、刺し身、日用品など約300品目を販売している。福島、郡山、須賀川の3市を中心に展開しており、利用者は約1000人に上る。いちいはシステムの拡充も見据え、利用可能エリアの拡大や7台体制の移動販売車の増備を協議する。
カードの所有で現金を持たずに買い物が可能となり、利用者の利便性が向上するだけでなく盗難などの犯罪に巻き込まれる不安の解消にもつながる。サービス開始に先立ち、移動販売車でJCBの東邦Alwaysカードのクレジットカードとデビットカードを利用できる機器を導入する。併せて日常生活のけがや事故に備え、希望に応じて三井住友海上火災保険の協力で傷害保険サービスも利用できる。
さらに東邦銀行はいちいのサービスの周知を図りながら会津地方や浜通りなど他のエリアでも同様のサービスの展開を目指す。同行の竹内誠司専務営業本部長は「今後も地元に役立つ施策を打っていきたい」と語り、県内全域に安心・安全を広げる取り組みに貢献していきたい考え。
経済産業省の試算では、食料品など日常の買い物が困難な人は全国に約700万人いる。伊藤社長は記者会見で「見守りメールの活用で離れた家族にも安心感を提供できるはず。地域の安心を守る仕組みとして広く展開していきたい」と意欲を示した。同席したJCBの浜口強代表取締役兼専務執行役員は「買い物弱者の問題に正面から取り組む必要がある。福島のモデルを成功させて、全国に拡大したい」と語った。