藤枝全域に通信網 国内初、17年度から実証実験 見守りから施設管理まで /静岡

2017年01月12日毎日新聞

 
 藤枝市は、あらゆる機器がネットワークにつながる「モノのインターネット(IoT)」向けの通信網を市内全域に構築し、2017年度から実証実験を始める。子どもや高齢者の見守り、施設管理などを遠隔操作で簡単に行うための仕組み作りを目指す。低価格の通信方式が特徴で、自治体全域に整備するのは国内初という。

 藤枝市はIT活用による地方創生を掲げており、昨年6月に連携協定を結んだソフトバンクが市内20カ所に基地局を設置する。17年度の実証実験では、専用の小型機器を一部の小学生に配布。登下校時の位置情報を保護者がスマートフォンで確認するシステムで、スムーズに送受信できるか検証する。

 今回採用するのは「LPWA」という通信方式だ。やりとりできるデータ量がWi-Fiなどと比べ少ないため、価格や消費電力を低く抑えられ、24時間態勢の見守りには最適な通信網とされる。

 対象エリアは街中だけでなく工業地帯や農地も含まれ、さまざまな産業で利用の幅が広がる。低コストの通信網が実現することで、民間企業に対し新システムの開発、運用を促しやすくなる。藤枝市は遠隔操作によるガス・水道メーターの検針や駐車場の空き情報管理、農場管理といった用途を想定している。

 総務省は経済波及効果や雇用創出を見込み、地域でのIoT導入を推進している。藤枝市の担当者は「新たなネット事業の可能性が広がり、研究開発の最先端として市をアピールできる。意欲のある民間企業を呼び込んで産業活性化につなげたい」と話した。