高齢者孤立タブレットで防げ タッチの有無で安否確認 湯前町が端末を配備 [熊本県]
2017年06月14日西日本新聞
湯前町の高齢化率41・6%は、全国平均27・6%を大きく上回る。民生委員や地域の世話役も高齢化しており、独居世帯の見守り活動など人手の確保もおぼつかない。そこで町が目を付けたのが、タブレット端末を活用しての見守りシステム。
スマートフォンより画面が大きく、慣れれば高齢者にも使いやすい。地域の隅々まで食材などを宅配してくれる生活協同組合とも連携するなど、過疎地の高齢者を支えようと懸命だ。
午前5時、高齢者宅に配備された端末の画面に「お元気タッチ」の文字が浮かび上がる。高齢者が画面を指先で触れれば、町保健福祉課や民生委員宅の端末に情報が伝わる。誰が何時ごろ、画面をタッチしたかが分かり、安否の確認ができる仕組みだ。
町は2014年度から住民や民間事業者とつくる協議会で高齢者の見守り活動について検討。アドバイザーとして参加していたニシム電子工業(福岡市)が、タブレット端末の専用アプリを開発。2年間の実証試験を経て今年4月から本運用を始めた。
端末を活用して町からのお知らせや防災情報などを文字情報として配信するほか、端末同士でのテレビ電話も可能。町は見守りが必要と判断した11世帯に端末を配備した。17年度の事業費は270万円。
機械だけでなく、人の目による見守りも強化した。町は今月、生活協同組合くまもと(本部・水俣市)と高齢者らの見守りなどに関する県内初の「生活応援包括連携協定」を締結した。
町内の27・4%に当たる445世帯が組合に加入しており、配送車が地域を細かく巡回していることに目を付けた。配達員が住民の異変に気づいたら、役場へ連絡することなどを取り決めた。災害時には、組合が町に水や食料などの応急生活物資を有償で提供する。
鶴田正已町長は「行政にできることは限界がある。協定を活用し、住民への手だてを講じたい」と話す。