アサヒ飲料、IoT無線ルーター搭載−「自販機で見守り」検証

2017年05月28日日刊工業新聞

 
 アサヒ飲料は23日、情報通信研究機構と共同で、IoT(モノのインターネット)技術を活用した自動販売機(写真)による見守りサービスの検証を6月に始めると発表した。自販機で相互に地域の無線ネットワークを構築して、子どもや高齢者向けの見守りや交通安全、観光案内などを行うサービスの可能性を探る。

 アサヒ飲料が東京都墨田区内に置く自販機の内約100台に、国際無線通信規格「Wi―SUN」対応の情報機構が開発したIoT無線ルーターを搭載する。自販機の無線ネットにより、個々の自販機を情報の中継や発信の拠点に見立てる。ある自販機近隣で発信された情報を、離れた場所からもスマートフォンなどで確認できるようにする。

 実用化のめどが立てば、墨田区内で生活する住民らに電波を受発信するビーコンの端末を貸与し、さまざまな行政サービスを計画する。

 東京・浅草の浅草寺といった観光名所やみやげ店舗に無線ルーターを設置し、観光客に観光や店の情報のスマホを通じた提供も検討する。

 アサヒ飲料の自販機台数は合計約28万4000台。外国人向けに翻訳案内したり、常温飲料を提供したりできる。自販機の差別化戦略に力を入れている。