高齢者の心の支えに 安否確認電話20年 水戸 /茨城

2017年05月20日毎日新聞

 
 1人暮らしの高齢者に電話をかけて安否を確認する水戸市のボランティア団体「にじの会」が発足から20年を迎えた。この節目を機に後進に道を譲る会長の磯崎孝子さん(80)は「高齢者の心の支えであり続けてほしい」と願っている。【根本太一】

 「にじの会のふれあい電話でございます。風邪ぎみですか。喉の調子が悪いようですけど」

 電話は1回あたり数分程度が多いが、時にとりとめがない長い話に付き合うこともある。また電話口で異変を感じて近所の民生委員に連絡したところ、熱中症で倒れていた高齢者が見つかったこともあったという。

 同会は1997年4月、磯崎さんら市社会福祉協議会城東地区の女性ら約20人で発足した。近所の高齢者を招いた昼食会で欠席者が目立ったのを見て、「皆さん体は大丈夫だろうか」と懸念したのがきっかけだった。会の名前は「虹のように高齢者との懸け橋になる」との思いで決めた。

 会員は毎週木曜と金曜に2時間ずつ、持ち回りで公民館に詰め、民生委員が作成した名簿を基に高齢者に電話をかける。安否確認以外にも、会話を通じて孤独感やストレスの解消を図る。「おじいさん」「おばあさん」と呼ばずに相手の名前を呼び、プライバシーには触れないのが約束事だ。

 現在は、70歳以上で昼間も独居の希望者が対象。平均年齢は80歳で最高齢は94歳。
 引退する磯崎さんは「よちよちの一歩を踏み出した会も成人になった」と感慨深げに話した。

 同会は20年を記念した冊子「にじ」を発行した。問い合わせは城東市民センター(029・221・9974)。