介護や医療に呼吸計測で見守り 北杜のメーカー「細田」がセンサー開発

2017年05月17日産経新聞

 
 寝ている人の呼吸数をセンサーで計測・感知し、要介護者の徘徊(はいかい)や患者の容体の異変、さらには睡眠時無呼吸症候群などを即座に通知するシステムが開発された。

 北杜市白州町白須のセンサーメーカー「細田」の「呼吸・体動マットセンサー」だ。同社は6月から介護施設や在宅介護、病院向けに販売を始める。従来の超音波方式などより測定精度が高いとしており、特許を出願中だ。価格も「従来の約半額の8万円程度に抑えたい」という。初年度に2千システムの販売を目指している。 

 同社の細田哲也開発本部長は「超音波方式だと1分間の呼吸数が7回以下だと計測できず、エアマット式という別の方法だと呼吸、心拍数が正確に拾えない」と指摘する。新開発の「呼吸・体動マットセンサー」は3枚の電極を重ねたマットで、ベッドに敷く。寝ている人の呼吸などで生じるわずかな重量の変化も、電極間の空気層とスポンジ系素材が感知するという。

 細田本部長は「呼吸で胸部が膨らんで背中側のセンサーに微量の圧力がかかり、呼吸の回数や深さが検知できる」と説明する。

 センサーで感知した情報は、施設スタッフなどのパソコン、タブレット端末に無線で送信される仕組み。呼吸の状況などを分析し、離床▽着床▽息づかいが多い体動過多▽その逆の体動低下▽無呼吸の体動停止▽ベッド上で暴れるなどの体動-の6つの状態になっていると伝える。

 一般家庭でも活用できるほか、施設外のスタッフや家族のスマートフォンに、アラーム警報と併せて通知することも可能という。

 センサーの製造は北杜市と長野県内の精密機械加工会社へ委託。開発コストなどを抑えることができたという。タブレット版、パソコン版を順次発売する。

 センサーは昨年11月、県の「山梨産業大賞」で審査員特別賞を受賞した。

 県は「呼吸と体動のデータ蓄積ができる高いセンサー技術は高齢者の見守り、体調管理システムとして期待される」(新事業・経営革新支援課)と注視している。