ネスカフェ、“IoT×コーヒーマシン”で高齢者の見守りに活用……新モデル「バリスタ i」登場
2016年8月26日RBBTODAY
ネスレ日本では、スマートフォンと連携できるコーヒーマシンの新モデル「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ i(アイ)」を10月1日より発売する。希望小売価格は税抜7,389円から。今後はソニーモバイルコミュニケーションズの協力によるエージェントアプリの提供も考えている。
バリスタ iは、Bluetoothでスマートフォンと連携できるのが特徴。専用アプリ「ネスカフェ アプリ」を使うことで、好みのコーヒーの濃さや泡立ちをプリセットとして保存できる。また、家族や友達をリストに登録することで「友達が、いつどんな気分でコーヒーを飲んだか」をリアルタイムで知ることができる。これに加え、目覚ましの利用や、コーヒーの抽出時間の予約、メンテナンス方法の確認などもアプリを通じて行える。このほか、飲むごとに貯まる「ネスカフェ ワクワクポイントプログラム」では点数に応じて商品と交換できる。
都内で26日に開催された事業戦略発表会に登壇した、ネスレ日本 代表取締役社長兼CEOの高岡浩三氏は、このIoT化したコーヒーマシンは“高齢者の見守りサービス”としての側面があると説明した。前述の通りバリスタ iでは、リストに登録された友達とコミュニケーションを図ることができる。いわゆるSNSのような使い方ができるわけだが、この機能の延長として、遠く離れた両親の安否確認ができる点を訴求していくという。
高岡氏は、現代社会について「ひとり暮らし、あるいは2人で暮らしている世帯が全体の60%にも上るなど、核家族化が進んでいる。いまや4人家族は少数派。ひとり暮らしの世帯では、1杯のコーヒーを飲むためだけにお湯を沸かすことを面倒に思う」と指摘した。
そこで、次の段階として世帯同士のコミュニケーションに注目した。「いまの時代、家族といっても離れ離れ。家族間のコミュニケーションが図れるサービスで、この問題を解決したい」と高岡氏。具体的には年老いた親を田舎に残している人、単身赴任の人などにこのバリスタ iを訴求していきたい考えだ。
今後の展開として、音声アシスト機能に対応したエージェントアプリとの連携機能を追加することが明かされた。開発にはソニーモバイルコミュニケーションズが協力する。同エージェントアプリでは「コーヒーを淹れて」といった注文のほか、インターネットで調べたい単語の検索、天気予報の情報の取得、友人へのメッセージの送信などを音声アシスト機能により実現する。自然な対話が成り立つことで、孤独感の解消にもつながるという。
新製品の価格を従来機種と同じ水準に据え置いた理由について、高岡氏は「ひとり世帯はコーヒーの消費量は少ない。でも、ひとり暮らしだからこそバリスタのようなものが必要になる。できることならマシンの値段をタダにして、その代わりずっとコーヒーを飲んでもらいたい。必要な人に投資して、需要をつくっていくことが大事。これはマシン本体の値段で稼がなくてはいけない家電メーカーではできないこと」と説明していた。