「人が見守る」安心感 〈企業編〉コミュニケーションパートナー(1)

2016年8月03日zakzak by夕刊フジ


 「人が対応する」ことでより安心感を与え、ぬくもりのあるサービス提供を目指す-。独居高齢者向け電話見守り事業を展開している「コミュニケーションパートナー」(神奈川県横浜市)は2015年6月に設立された。同社の代表取締役・岡田喜美子さんに話を聞いた。

 ■“人との対話”に着目

 現在、大手企業を中心にさまざまなタイプの高齢者見守りサービスがあるが、センサーなどを利用したものも多く、機械的でシステマチックな面もある。そんな中、「人が対応する」ことにこだわり、安心感とぬくもりある見守りサービスをスタートさせた会社が「コミュニケーションパートナー」だ。

 「従来の見守りサービスは、機械やシステムに頼るところが多く、どこか一方的な感じがして、私はかねがね疑問を抱いていました。高齢者の方のなかには、『監視されているようで落ち着かない』という方もいらっしゃいました。そこで、機械ではなく、電話での会話を通した『人対人』というサービスを始めようと思ったのです」。岡田さんは同社を起業したきっかけをそう振り返る。

 超高齢化社会を迎えた日本では、介護する・されるというのは、当たり前になっている。しかし、要介護になる前に、何かしらの変化や兆候に気付き、医師の適切な処置を受ける、病院を受診するなどできれば、重症化を避けられるかもしれない。

 自身もコミュニケーターとして、会員への対話を通した見守りをおこなっている岡田さん。機械的な見守りサービスとは異なる、「人が対応する」からこそ、高齢者のちょっとした変化や病気の兆候に気が付くのだという。

 「人間の尊厳」を大切にしたいという思いから、社会性のある同サービスの構想を練り、満を持して昨年スタートを切った同社。新たなアプローチでの見守り事業は各方面からも注目されている。

 ■サービスの仕組み

 同社の「朝の対話による見守りサービス」は、全国の一人暮らしの高齢者に対し、いつも同じ担当者(同社ではコミュニケーターと呼ぶ)が、朝の7~10時の決まった時間に電話で連絡し、体調を確認する会話をマンツーマンでおこなう。

 「1人暮らしの高齢者は、どうしても会話の機会が減ってしまいます。特に、男性の1人暮らしの方は、何日も話をしていないという方もいます。現在患者数が増加している認知症は、常に誰かとコミュニケーションをとることで予防することができますし、少しでも異変があれば、早期発見もできます」(岡田さん)

 提供内容は、「週3・5日コース」の他、世間話や悩み事なども相談できる「お友達ダイヤル(1回15分)」や、日常生活や体調について報告する「家族にメール配信(月に2回)」、専門チェック項目で確認する「早期認知症チェック」などさまざまなサービスをそろえる。9月までの期間中は熱中症対策キャンペーンとして利用料が半額となっている。

 ネット社会の現代に、あえてアナログ的な電話による会話という点が高齢者にも受け入れられている。