遺品整理士が見た! 激増する独居老人の孤独死(3)

2016年7月29日週刊実話ニュース


 孤独死は高齢者に限らない。非正規などの若年層でも起こる。

 「UR都市機構のデータによると、同機構が持つ賃貸住宅内では1999年に200件強あった孤独死が、'09年には700件弱まで増えている。10年で約3倍です。20年、30年後には一人暮らしという家族形態が当たり前になる時代やってくる。そうなると、孤独死が増加するのは避けられません」(老人問題アドバイザー)

 30代後半の男性は今、35%が結婚していない。正規の会社員なら無断欠勤が続くと同僚や上司が心配して様子を見に来てくれるかもしれない。連休明けに何日も会社に来ないことを不審に思い、様子を見に行ったら死後10日経っていたという30代のOLの例もある。これが非正規やフリーターの場合「ばっくれやがったな」でおしまいだ。

 「新聞配達やヤクルト、弁当の訪問販売などには、警察と連携した高齢者宅の“異常”を通報するシステムがあり、実際に人命救助に役立った例があります。こうしたサービスは、自身の孤独死対策に消極的な人にも見守りの目が行き届くようになっています」(東京都社会福祉協議会)

 「孤独死」が増えるに従い、遺族に代わって遺品の整理や処分を行う業者も多くなった。孤独死によって生じる大きな問題は前述したような死体の処理だが、もう一つの問題は、部屋に残された引き取り手のない遺品類の整理だ。

 便利屋など遺品整理の専門業者の上部団体に「遺品整理士認定協会」(本部:北海道千歳市、加盟:全国2000社)が創設され、そのHPでは同協会推薦の全国の業者一覧が掲載されている。同HPを利用することも念頭に入れておこう。

 「業務は、まず現地を視察し、見積もりを出してからスタートします。生前依頼も少なくありません。生きている間に残された家族に迷惑をかけないようにと『終活』の一つとして身辺整理をしておきたいということでしょう。本人、家族、親族以外の依頼は市営・都営住宅や社会福祉協会、葬儀屋さん、不動産屋さん、病院など多方面から舞い込みます。遺品整理宅によって請求金額は違いますが、5万円から100万円までと幅が広くなっています。直後に住宅を解体するか、または清掃後、部屋を継続して誰かが住むなどの条件によって違ってくるからです」(都内の業者)

 故人の部屋の片付け、清掃、不用品の処分などは、これまでは遺族の仕事だった。現代は「跡継ぎ不在」「お一人様」社会になりつつある。少子高齢化や晩婚化、生涯結婚しない非婚化('30年には男性の30%、女性の23%が非婚と予測)などで、子どもがいない人生を歩む人が増えていく。

 こうした世情で死後の後始末を「自助」だ「自己責任」だと当事者に押し付けても、ライフスタイルが変化し、認知症患者が300万人という時代の中では何の解決策にもならない。
 どう生きてきたか、最期までどう生きたいかを考え行動することが、今こそ必要なのだ。