遺品整理士が見た! 激増する独居老人の孤独死(2)

2016年7月28日週刊実話ニュース


 自身の死を考えてみよう。葬儀や納骨から始まり、電気・水道など各種契約の解除や遺品整理といったさまざまな死後の事務処理を誰が担うのか、という問題が浮上する。誰が人生の最終章を支え、看取り、弔ってくれるのか。その担い手の不在に直面する人々が独居老人の増加によって増えていく。また、子どもがいても貧困のために経済的自立が困難で、例えば葬儀や墓の購入を子どもには頼れないというケースも出てくるだろう。

 「ええい! やけのやんぱち日焼けのなすびだ。わたしゃ一人静かに誰にもみとられず息を引き取れればいい」と思っても、これはこれで大変な問題となる可能性をはらんでいる。

 死後発見された遺体は、夏場なら2、3日ほどで腐る。ウジがわき、人の脂が畳や絨毯、床に染み込む。すると、遺骸をどけると倒れたときの形状がクッキリ浮かび上がる。こうなると葬式時に最期のお別れで、弔問客(いれば、それはそれで結構なことだが)に顔を見せることはできない。

 引き取り手のない孤独死の場合、ある自治体では社会福祉協議会が遺骨を木箱に入れて10年間保管することになっている。それは想像するだけでむなしい。

 東京都には、なぜ亡くなったのかはっきりしない人の死因を調べる監察医制度があり、監察医務院という都の組織がその結果を分析している。この制度は都以外に大阪、神戸、名古屋市にもあるが、その他の自治体にはない。要するに4大都市以外の道府県で亡くなると、はっきりした外傷などがない場合は事件が見逃される可能性があるのだ。

 監察医務院によると「東京23区で一人暮らしをしていて自宅で亡くなって発見された人は約6000人。そのうち65歳以上の高齢者は約3800人いた」('13年)という。NHKが全国の自治体を調査した結果では、孤独死は3万2000人('08年)に上っている。

 「厚労省の研究班がまとめた数字でも1年に約3万人が孤独死で亡くなっています。孤独死は全国統一の定義がなく、(1)自宅で亡くなっている。(2)死因は自殺と他殺を除く、例えば脳梗塞や心筋梗塞で具合が悪いのに助けが呼べずに餓死してしまったり、お年寄りや心臓に病気のある方が、風呂に浸かったまま意識を失って溺死してしまうというケースです。また、亡くなられてから発見されるまでにどれだけ経過したかも明確には定義されていません。死後1日で発見されても1カ月後に発見されても孤独死は孤独死です。ただし、ターミナルケアとして、介護士や訪問看護師、医師が定期的に訪問している場合は、死期が予測されているので孤独死とは言いません」(東京・足立区社会福祉協議会)

 孤独死した人すべてが生前から孤立していたというわけではない。

 「知人や家族がいても、たまたま一人でいたときに亡くなることもある。医務院によると、一人暮らしをしていて亡くなり、1週間のうちに見つかった人は約7割でした。音信が途絶え、親族や知人が、もしやと思い訪問して発見されるケースです」(同)