「お年寄り」めぐる新ビジネスチャンス 日本郵便の参入で熱い闘い

2016年7月17日J-CASTニュース


日本郵便が全国約2万4000の郵便局ネットワークを活用し、郵便局員が一人暮らしのお年寄りらを訪問する「みまもりサービス」を展開していく方針であることがわかった。電子メールの普及で郵便の取扱量が伸び悩む中、日本郵政グループは定期的に高齢者宅を訪問するサービスを郵政3事業に続く新規事業と位置づけ、新たな収益源の一つとする考えだ。しかし、同様のサービスはヤマト運輸なども参入しており、ライバルとの競争に発展しそうだ。

「みまもりサービス」は、日本郵便が2013年10月から試験的に導入し、16年夏現在は13都道県の738局で実施している。郵便局員がお年寄りらの自宅を毎月1回訪問し、会話を通じて確認したお年寄りの様子を郵便で契約者に報告する。都会に住む息子や娘が、故郷で一人暮らしの親の安否を気遣い、契約するケースが増えている。

先行するヤマト運輸

料金は毎月1回・30分のコース1980円、毎月1回・60分のコース2480円。毎月の訪問を増やすこともでき、30分の訪問で1回につき1500円の追加になる。実際の訪問は、郵便局員がチェックリストに基づき、確認結果を契約者に郵便で報告する。

遠隔地のお年寄りを見守るサービスとしては、ヤマト運輸が「高齢者見守り支援サービス」(まごころ宅急便)として、一部地域で既に実施している。宅配便のドライバーがお年寄りの買い物代行や見守りを行うもので、岩手県西和賀町などで行っている。買い物が困難なお年寄りから食材などの注文を受け、ドライバーが配達時にお年寄りの体調を確認し、異変があれば市町村役場や消防署に連絡するというシステムだ。

ヤマト運輸の長尾裕社長は「まごころ宅急便は岩手県西和賀町を担当していたドライバーが、過疎地に住む高齢者の現状を変えたいという思いから実現に至ったサービスだ」と説明。この分野では日本郵便に先行する。

象印マホービンは、電気ポット介した「見守り」

お年寄りらの見守りサービスとしては、象印マホービンが2001年にスタートした「みもまりほっとライン」も知られる。無線通信機を内蔵した電気ポットをお年寄りが使うたびに、安否確認のメールを遠方の家族の携帯電話やパソコンに送るというサービスだ。お年寄りがお茶を飲むなど電子ポットを使えば、契約者は「ひと安心」というわけだ。

象印のこのサービスはレンタルの電子ポットのレンタル契約料が5000円、サービス利用料が月額3000円。同社は「1日あたり100円で、遠方の家族は安心できる」としており、累計契約者は1万件を突破した。

高齢化社会の進展で、お年寄りの見守りサービスが新たなビジネスチャンスとなるのは間違いない。果たして全国の郵便局網を使った新サービスは普及するのか。ヤマト運輸などライバルとの競争が注目される。