独り暮らし高齢者が増加=欠かせない生活支援

2016年6月29日時事通信


 2015年国勢調査の速報結果は、高齢化が一層進んだことを裏付けた。特に独り暮らしの高齢者は、5年前の前回調査と比べると約84万人増加。公共交通機関が発達していない地域に住んで車も運転できない場合、外出や買い物も不自由になってしまい、日々の生活を維持するのは難しくなる。それぞれの地域に合った高齢者の生活支援が欠かせない。

 調査結果では、都道府県別に見て、65歳以上の高齢者人口が全体の25%以上を占めたのは41道府県に上った。5年前の前回調査では23県だったので、高齢化の波が全国どこでも押し寄せていることが分かる。また、高齢者人口約3342万人のうち、特別養護老人ホームなどの施設や病院ではなく、自宅で独りで暮らしている人は約563万人で、前回調査から約84万人増えた。割合で見ても16.8%と伸び続けている。

 全国的に高齢化が進む中、住民が中心となった「地域運営組織」をつくり、地域に住む高齢者の生活を手助けする取り組みも目立つようになった。声掛けや見守り、外出や買い物の支援、交流促進などが主な内容だ。秋田県横手市では高齢者宅の屋根の雪下ろし、島根県雲南市では水道の検針業務と高齢者の見守りを組み合わせる活動に取り組んでいる。

 総務省の調査では、こうした地域運営組織は全国に1680あるが、本当の普及はこれから。同省の担当者は「リーダーとして取りまとめる人や、実際に活動を担う人を見つけるのが難しいようだ」と、人材確保が課題と指摘した。