徳島)スマホのアプリで子ども見守り 石井町で実証実験

2016年6月08日朝日新聞


 「ビーコン」という小型発信器を用い、子どもや高齢者を見守るサービス「COCOMO」の実証実験が7月にも、石井町で始まる。公共施設などにセンサーを取り付け、ビーコンを持った子どもが近くを通ると、親のスマートフォンに居場所を知らせる。住民にも、スマホが「センサー」になるアプリを使ってもらい、地域ぐるみで見守ろうという試みだ。

 COCOMOは住宅関連サービスなどを扱う「リクルート住まいカンパニー」(東京)が開発し、来年4月の全国展開を目指している。昨年は埼玉県秩父市東京都目黒区の2小学校で実験を行った。より大規模な実験に協力する自治体を募ったところ、石井町が手を挙げた。

 子どもは直径3センチほどのビーコンをランドセルなどに付けて歩く。センサーは公園、公共施設、幹線道路など約30カ所に設置。約50メートル以内を子どもが通ると、ビーコンが出す微弱な電波を検知する。保護者はスマホに入れた専用アプリを通じ、子どもがどこを通ったのかを確認できる。

 従来の実験は、センサーを付けた場所が学校の昇降口のみで、子どもの登下校しか検知できなかった。町全体での実験は初めてで「どの程度、児童の位置情報を把握できるか、どんな効果があるのかを試したい」と同社プロジェクトリーダーの河本晃卓さん(28)は話す。

 さらに、住民の有志には「見守りサポーター」を担ってもらう。スマホに専用アプリを導入すると、センサーのようにビーコンを検知することが可能で、サポーターが増えるほど、居場所がきめ細かく把握できる。

 サポーターには子どもの個人情報や位置はわからない。検知した人数を知らせることで、参加の実感を持ってもらう。町は、まず町職員や消防団員などをサポーターに想定している。

 実験では、5校に通う約1300人の小学生を対象に、500個ほどのビーコンを用意し、希望者に配る。町教委は保護者向け説明会を町中央公民館で開く。

 また、認知症の高齢者や中学生で希望者がいれば、利用を広げたいという。ビーコンは無料で、利用者は3カ月目以降、月額300円の料金を払う。実験期間は来年3月31日まで。

 同社と町は今月2日、実験の協定を結んだ。調印式で小林智仁町長は「全国的に子どもが巻き込まれる犯罪が増え、対策を模索していた。町一丸で子どもや高齢者の安全を守っていきたい」とあいさつ。河本さんは「小学生になると1人で行動する機会が増え、心配する親御さんも多い。町の協力を得ながら、見守りサービスを全国に広げたい」と述べた。