冷凍総菜、高齢者に宅配 フレッグ食品、まず福井で

2016年4月13日日経新聞


 総菜加工販売のフレッグ食品工業(福井県永平寺町)は今夏をメドに高齢者向けに冷凍総菜の宅配サービスを始める。介護施設用の総菜を商店などを経由して届ける。追加料金で遠方の家族が高齢者の安否を確認できるようにもする。まず福井県内から始め、対象地域を広げる。自力で買い物が難しい独り暮らし高齢者の増加に対応し、事業を拡大する。

 冷凍総菜の宅配サービスは「福結び」と名付けて展開する。魚の煮付けやハンバーグといったおかずの主菜パック1つ、卵焼きやナムルなど副菜パック2つが1食分で6食分が週1回、届くようにする。1食当たり650円程度で提供する。

 冷凍総菜はレンジで加熱するだけで調理時に近い味を再現し、軟らかく食べやすい。密封状態で届き、盛りつけが要らないため、衛生面でも優れているという。

 まず地元の永平寺町を中心とした地域で100~150世帯を対象にサービスを始める。地元の商店などを対象に宅配を希望する事業者を募る予定だ。

 高齢者にとっては定期的に配達担当者が訪れることで、安全・安心につながる。見守りサービスの事業者と組んだオプションも始める予定だ。高齢者宅のトイレや玄関に室温などを感知するセンサーを設置し、家族がスマートフォンのアプリで状態を確認できるようにする。月600円程度の追加料金が必要だ。

 サービスの開始に先立って冷凍加工設備を増強する。現在の能力は1日1千食だが、2千万円かけて、冷却と冷凍を一体的にできる加工装置を導入する。1日3千食まで対応できるようにする。

 同社は1971年に設立。他社ブランドによる総菜加工や駅弁販売が主力で、2016年3月期の売上高は約14億円の見込み。08年に始めた介護施設向けの冷凍総菜も1億円の事業に育ってきた。宅配サービスについて斎藤真理夫社長は「利用者に寄り添って、現代版ご用聞きのモデル事業にしたい」と意気込む。21年3月期までに介護施設向けと宅配で、冷凍総菜の事業を計3億円程度まで伸ばす考えだ。