静岡のインフィック、スマホ通じ高齢者見守り
2016年4月08日日経新聞
介護施設の運営や介護商品を販売するインフィック(静岡市、増田正寿社長)は、家庭や施設内で高齢者を見守るシステムを開発した。高齢者の運動量や室内の温度や湿度を観測して行動や体調の異常を察知し、家族や介護者へ知らせる。今後本格販売し、まず国内で2万人の利用者獲得をめざす。将来はアジア圏にも販売する。
富士電機系のシステム会社と組んで開発した見守りセンサー「CareEye(ケアアイ)センサー」を高齢者の生活場所に設置する。室内での運動量や室温、照度などのデータを記録し、同社のクラウドに集める。
これまで介護現場で培った知見を生かす。データから類推できる異常や危険性を、外出中や離れて暮らす家族などにパソコンやスマートフォン(スマホ)のアプリを通じて知らせる。
例えば、照明が暗い中で運動量が高いと夜間の徘徊(はいかい)が考えられ、逆に昼間に運動量が極端に少ないと倒れている可能性もある。湿度が高く気温が高い状態が続くと熱中症のリスクが高まる。
現在、自社グループ内の介護施設で試験的に利用しており、子会社インフィック・コミュニケーションズ(東京・千代田)が5月中旬から外部へ販売する。一般家庭や介護施設向けにリース販売するほか、自社のホームページから販売する。
価格は初期登録費用として1万5984円、月額利用料が1058円(ともに税込み)。初年度に県内と首都圏に3000、3年後に全国で2万の利用者獲得を見込む。
関連商品も拡充する。すでに画像認識・処理機器をつくる福岡県の企業と組み、映像を記録し、異常時にはカメラに設けたスピーカーを通じて声をかけられる機器も開発した。
今後は他の企業とも連携し、心拍や寝返りを感知できるセンサー機器のほか、薬を規則正しく服用できるようにする管理システムなども検討する。見守り対象の高齢者に割り振られたIDをこれらの機器間で共有し、各高齢者の介護度合いに応じた多面的な支援ができるようにする。
増田社長は「介護現場を熟知している点がサービスの利便性や安心感の向上につながる」として、商品の競争力を高められると判断している。同社は02年に設立して介護・福祉機器販売業を営む。15年9月期の売上高は3億9000万円。