LPガスの遠隔操作装置、防犯・見守りに活用 経産省

2016年3月10日日経新聞


 経済産業省はプロパンなど家庭用の液化石油ガス(LPG)について、離れた場所から遮断弁を閉じたり検針したりできる装置を広めるため、優良なガス事業者を優遇する制度を4月に始める。遠隔操作を増やすことで検針の効率を高めると同時に、防犯や高齢者の見守りなどにも生かす。

 LPガスはプロパンやブタンを主な成分とし、運びやすいようにガスを冷やした液体として灰色のボンベなどに入れられて流通している。離島や山間部など都市ガスが普及していない地域をはじめ「全国のおよそ半分に当たる2500万世帯で使われている」(日本LPガス協会)。

 遠隔操作の装置を使っている顧客が全体の5~7割に達した事業者に対しては、優遇措置として営業エリアの拡大を認める。通常は顧客の半径約20キロメートル圏内にガス漏れなどの緊急時に対応する拠点を置かなければならないが、今回の措置ではこれを40キロメートルまで広げる。さらに顧客の7割以上が遠隔操作装置を設置している事業者は半径60キロメートルまで拡大する。

 営業圏の拡大を認めるのは遠隔操作ができればガス漏れなどの異常を検知した場合に作業員が現場に向かわなくてもガスを止められるためだ。事業者としては設置コストがかかる半面、少ない拠点で広いエリアを網羅できるようになり、コスト負担の軽減や新規顧客の獲得増も見込める。

 経産省は装置の普及によって、ガスの利用状況から独居する高齢者の安否の確認や、侵入センサーと連動させた防犯サービスが普及することを期待する。優良事業者として認定する数を、今後5年で400件超としたい考えだ。