電話に「撃退機器」1千台貸します 宇都宮市が特殊詐欺対策プログラム

2016年2月26日下野新聞


 特殊詐欺被害が「高止まり」となっている状況を受け、宇都宮市は25日までに、2016年度から「市特殊詐欺対策アクションプログラム」を実施する方針を固めた。19年に被害認知件数を3分の1以下に減らすという数値目標を掲げ、市内の警察署や金融機関、自治会などとの連携を強化する。プログラムの一環として、固定電話に取り付ける「特殊詐欺撃退機器」1千台を65歳以上の高齢者世帯を対象に貸与する。

 プログラムでは(1)一人一人の「抵抗力」の向上(2)被害に遭いにくい「生活環境」の構築(3)地域ぐるみによる「見守り」の強化-の3点を基本方針に掲げ、19年までに認知件数を30件以下とする数値目標を設けた。

 重点事業の一つが、「特殊詐欺撃退機器」の無償貸与。かけてきた相手に通話内容の録音を知らせる警告メッセージが流れる。貸出期間は6カ月で、継続利用の希望があった場合は有償で譲渡する。

 県警は昨年5月に撃退機器250台の無償貸し出しを実施。利用者への聞き取り調査の結果、78%が「迷惑電話が減った」と回答している。

 市内の金融機関では、多額の現金を引き出した高齢者に声を掛けるなど被害を水際で食い止める取り組みを行っているが、岡本駅前郵便局の杉山和正(すぎやまかずまさ)局長は「詮索されるのを嫌がる方も少なくない」という。宇都宮東署の岩崎泉(いわさきいずみ)生活安全課長は「被害防止への認識が市民に広まれば」と期待を寄せている。