高齢者緊急通報システムの利用者伸び悩む 苫小牧市

2016年2月08日苫小牧民報


 苫小牧市の高齢者等緊急通報システムの利用が、伸び悩んでいる。一人暮らしの高齢者は増加傾向にあるが、この5年間の緊急通報端末の設置台数は 200件前後と、横ばいで推移している。毎年、数十件の新設がある一方、施設入所などに伴う廃止もあるためだ。市は2015年度から、24時間対応の看護 師による健康相談や月1回の電話による安否確認サービスを始めるなどし、利用をアピールしている。

 同システムは一人暮らしの高齢者のほか、障害者手帳所有者など急な体調変化に対応できる家族がいない世帯も対象。緊急通報装置の緊急ボタンまたはペンダント型発信器を押すと市消防署につながり、救急車の出動が必要な場合には救急隊員が駆け付ける仕組みだ。

 緊急通報装置やペンダント型発信器、ガスセンサーなど関連設備の設置費用は無料だが、電話回線を使用するため、通話料は自己負担となる。

 市内の一人暮らしの高齢者世帯は10年度に5838世帯だったのが、14年度には6684世帯まで増加。ただ、同システムの利用状況(各年度末時 点の緊急通報端末の設置台数)を見ると、10年度204台、11年度191台、12年度169台、13年度206台、14年度204台とほぼ横ばいで推移 し、15年度も昨年12月末時点で218台となっている。

 毎年、40件前後の新規設置があるものの、施設入所や転出、長期入院、死亡などで設置をやめるケースも新規件数と同程度あるためだ。

 市は同システムの利用促進へ、15年度、これまで市役所が日中のみ対応していた健康相談を24時間、看護師が対応する形に見直した。相談のボタンを押せば委託先の民間事業者につながり、緊急時以外の健康不安などにも常駐する看護師が対応するようにした。
 委託先の民間事業者は月1回、安否確認の電話を利用者に入れている。

 周知不足もあって利用件数は伸び悩んでいるが、通報端末を設置した人々には好評。昨年12月に設置した桜木町の女性(79)は「市内の別な場所に息子家族がいるが、慢性の持病があるので、設置されただけで何となく安心できる」と言う。

 市総合福祉課は「以前は重篤な病気を持つなど、対象要件が厳しかったが、今は高血圧など慢性持病でもOK。緊急通報だけでなく健康相談など新たな機能も加わっており、万一に備えて利用してほしい」と話している。