2021年の介護福祉関連機器/サービス市場は1兆円超へ - 富士経済が予測

2016年1月25日マイナビニュース


 富士経済が昨日に発表した「Welfare関連市場の現状と将来展望 2016」の抜粋によると、2021年における介護福祉関連機器/用具・用品/サービスの国内市場規模は、2014年と比べて38.0%増の1兆879億円に達する模様だ。

 介護福祉関連機器、用具・用品、サービス市場の2015年の市場規模は8,268億円となる見込みで、2015年の介護保険法改正における市場への影響は現時点では軽微にとどまっているものの、福祉用具の購入や貸与で高額な品目への影響が懸念されるという。

 カテゴリー別に見ると、機器・器具・システム市場で最も構成比が高い品目は介護用電動ベッドであり、4割を超えているとのこと。徘徊・転倒防止機器や服薬支援ロボットは認知症対策で需要が増加しているという。介護福祉ロボットは市場成長期に移行していると同社は見る。

 消耗品・用具・用品市場では、大人用紙おむつの構成比が6割を超えており、また口腔保湿剤などのオーラル・ケアや、手すりなどの起立・歩行支援品目の成長率が高いとのこと。消耗品は価格競争が進んでいるという。

 サービス市場では、福祉用具貸与サービスの構成比が7割以上を占める。また、健康管理サービスや高齢者見守りサービスなど、介護保険対象外のサービスの伸びが順調とのことだ。

 機器・器具・システムのうち介護福祉ロボット(歩行・移乗)の市場規模は、2015年は16億円の見込みで、2021年には155億円に達すると同社は予測し、2021年の市場規模は2014年と比べて19.4倍になるという。なお、同社が定義する介護福祉ロボットとは、加齢から足腰が弱った高齢者や自力での歩行が難しい患者の歩行、要介護者の移動、リハビリ訓練などをサポートするロボットを指す。

 経済産業省ロボット革命イニシアティブ協議会による「ロボット新戦略」では、2020年までに介護分野で500億円の事業規模を創造することを揚げ助成金や優遇政策で後押ししており、多数の企業が市場参入を目指して開発・実証実験を進めているとのことだ。厚生労働省も2015年4月から「地域医療介護総合確保基金」で介護施設への介護ロボット導入助成を実施しており、これらが市場の追い風となって今後拡大が加速すると同社は予想する。

 高齢者向けコミュニケーション・ロボットの2015年における市場規模は5億円の見込みであり、2021年には2014年に対して3.4倍の17億円に成長するという。厚生労働省による2015年度の福祉用具貸与品目としての採択は見送られたが、今後、高齢者向けコミュニケーション・ロボットが採択されれば、市場は大幅に拡大すると同社は見ている。

 貸与売上と貸与事業の介護福祉用品売上を含む福祉用具貸与サービスの市場規模は、2015年は2,910億円の見込み、2021年には2014年と比べて49.1%増の4,100億円に達すると同社は予測する。

 市場は2000年の介護保険制度開始と共に立ち上がり、高齢者人口の増加や要介護認定者数の増加を背景に順調に拡大し続けているという。一方で、介護保険制度に頼るところが大きく、福祉用具貸与対象品目の増減や対象範囲の拡大縮小により市場が影響を受けているとのことだ。今後は介護保険制度における福祉用具貸与対象品目にコミュニケーション・ロボットなどの追加が期待される一方で、絞り込みの懸念もあり、2018年の法改正が分岐点になるという。

 この他、高齢者向けシューズの2021年における市場規模は2014年に対して58.2%増の87億円、手すりは同2.8倍の215億円になると同社は予測している。