高齢者見守り、外出先でも セコムがリストバンド型端末

2016年12月22日日経新聞

 
 セコムは2017年夏から、リストバンド型の端末を使って高齢者の見守りと健康管理を支援するサービスを始める。外出先などで突然意識を失って倒れた場合、端末が異常を検知してセコムに自動通知。警備員らが現場に駆けつける。常に身に着けているリストバンドを通じた安心・安全に関わる機能・サービスを順次追加。IT(情報技術)を活用し、高齢者の生活を支える。

 21日、セコムは新たに開発した端末「セコム・マイドクターウォッチ」の発表会を東京都内で開いた。新しいサービスについて、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」など「より進化した技術を活用する」と中山泰男社長は語った。

 端末は利用者が常時身に着けることを想定。電池は10日間持ち、充電は20分で完了する。防水対策も施し、シャワーなどで基本的に壊れることはないという。端末には歩数や消費カロリーを計測する健康管理に加え、異常を検知・緊急通報する機能も搭載する。

 緊急時の通報機能は現行の携帯端末による見守りサービスにもある。しかし、利用者自身がボタンを押さなければならないため、意識を失うと操作ができないという問題があった。新しいサービスは倒れた際の衝撃とその後に50秒間操作されないことから端末が異常を判断。利用者の持つ携帯電話の全地球測位システム(GPS)機能と組み合わせ、警備員が現場に急行できるようにする。

 自宅での異常にもよりきめ細かく対応する。例えば、端末を通じて、倒れているのか、寝ているのかなどを判断する。一定時間、寝返りなどによる体の動きがない場合は異常が発生していると判断。自宅にも警備員が駆けつけることで孤独死の予防にもつなげる。

 年明けから一部機能のモニター調査に入り、来夏のサービス開始を目指す。9月末時点で117万4000件という個人契約のホームセキュリティーの利用者を対象に売り込み、初年度で3万件の契約を見込む。サービスの月額料金は「1000円を下回ることを目指したい」(中山社長)としている。

 75歳以上の高齢者は30年に2300万人と、15年比で4割強増える見通し。一方では高齢者が自宅で医療や介護を受けながら過ごせる政策を進める方針を厚生労働省が打ち出しているため、見守りサービスの重要性は高まっている。

 IoTを活用する見守りサービスとしてはオリックス・リビング(東京・港)が老人ホームに高齢者の転倒を検知するセンサーを設置。パナソニックは学研グループが運営するサービス付き高齢者向け住宅にエアコンを活用したサービスを納入している。