セコム、ウエアラブル端末で高齢者見守り 来夏に新サービス

2016年12月21日日経新聞

 
 警備大手のセコムは21日、高齢者などの健康状態を見守り、必要に応じて自動で緊急通報などをするウエアラブル端末を開発したと発表した。セコムの家庭用防犯システム「ホームセキュリティ」を契約している人に向けて、2017年初夏からサービスを始める。自宅で単身や夫婦だけで暮らす高齢者が増える中、日常の健康管理や緊急時の安全対策を組み合わせることでシステムを導入する家庭を増やす狙いだ。

■「超高齢社会」に照準

 開発したのは手首などに装着して使うウエアラブル端末「セコム・マイドクターウォッチ」。歩数や消費カロリーなどを計測して利用者の健康管理に役立てるほか、緊急時にセコムの管理センターに通報するボタンが付いている。利用者が転倒したり動けなくなったりしても、衝撃の強さや移動の有無を基に異常を検知してセコムの管理センターに自動的に通報することが可能だ。

 セコムがウエアラブル端末を使ったサービスを導入するのは、家庭が「安全」に求めるものが、防犯にとどまらなくなったことが背景にある。なかでもセコムは「超高齢社会で自宅で長く過ごす高齢者が増えている」(中山泰男社長)ことに着目する。

 2014年時点で日本国内で65歳以上の高齢者が暮らす世帯の数は約2400万世帯と全世帯の半数近くに達する。このうち単身や夫婦だけで暮らすのは6割。全国の比率を単純にあてはめると、セコムのホームセキュリティの契約件数117万件のうち、およそ30万件は高齢者が一人暮らしや夫婦だけで生活していることになる。

■ALSOKも参入

 富士経済の推計によると、健康状態を管理したり家事などを手助けしたりする高齢者向けサービスの市場規模は今後5年間で3割以上拡大し、2021年には5572億円に達する見込み。成長市場なだけに参入企業は多く、競合の綜合警備保障(ALSOK)なども携帯電話端末などで異常を検知する見守りサービスを導入している。

 セコムも2015年に介護大手のツクイと提携。日本郵便やNTTドコモなど7社とは2017年に共同で高齢者向けサービスの新会社を設立することを決めている。きめ細かな機能やサービスで成長を遂げてきたセコムは、新技術を武器に新たな市場を創出できるか。今年5月に就任した中山社長ら新経営陣の手腕に注目が集まりそうだ。