センサーで高齢者見守り 富山県立大、異変など早期発見

2016年12月14日日経新聞

 
 富山県立大学は13日、一人暮らしの高齢者が安心・安全な生活を過ごすための見守りに役立つ先端技術を使った実験環境を公開した。今年度中に実験を開始し、3年以内に実用化を目指したいとしている。

 公開されたのは、富山県射水市のサービス付き高齢者住宅「雅」の部屋に設置した3種類のセンサー。高齢者の異変を含めた室内の状況を早期に発見して救急搬送につなげることなどを目的にしている。

 電波の反射を利用して非接触で人の動きや呼吸などを検出する「ドップラーセンサー」、表面温度を測ることで体温の推定も可能となる「サーマルセンサー」に加え、ベッドや車いすに複数設置することで体位や位置などが分かる「圧力センサー」を設置し、計測可能な環境をつくった。

 実験のとりまとめ役を務める県立大工学部情報システム工学科の鳥山朋二教授は、「センサーにはそれぞれ特徴がある。各センサーを『競争』させる形で得意分野を把握し、組み合わせなど役立て方を検討していきたい」と話している。

 県立大では、大学の研究倫理委員会の承認が得られ次第、施設の入居者に協力を得て、日常生活での行動を対象に実験を行う。3年以内にビジネスモデルとして構築したいとしている。

 今回の実験を含む「高機能センシングと個人情報活用による独居高齢者の安心・安全・快適なコミュニティ創造」については、県立大が富山福祉短期大学と共同で研究を進めており、総務省の2016年度戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)の地域ICT振興型研究開発採択プロジェクトに選ばれている。