シャープ、パナソニック、富士通、第一興商、NTT…自治体と連携、高齢者見守り実証実験活発化

2016年12月04日産経新聞

 
 家族と離れて暮らす高齢者の生活を見守り、支援するサービスの開発が加速している。中心となっているのは電機メーカーや通信事業者だ。高齢化に悩む島根県津和野町とシャープが高齢者世帯の買い物や食生活をサポートする実証実験を6日から始めるなど、官民の連携も進んでいる。

自動調理の電気鍋提供

 津和野町は人口減少と高齢化が急速に進み、65歳以上の比率は45%を超える。同町つわの暮らし推進課の内藤雅義課長は「買い物や荷物運びに対して不安を抱える高齢者は多い。地元商店も人口減で売り上げが減り、商売を続けることが難しくなっている」と話す。
 実証実験はシャープの提案で、50世帯の高齢者を対象に約3カ月行う。テレビ会議システムで町役場と各世帯を接続。役場は住民から食材などの注文を受けると、地元の商店に取り次ぎ、翌日には宅配便で品物を届けるという仕組みだ。

 シャープは必要なシステムのほか、食材と調味料を入れるだけで自動調理ができる電気鍋を提供し、商店と協力して自動調理に応じた食材セットの開発なども進める。
 実証実験の結果を踏まえ、同町は平成29年度にも買い物支援を町内全域に広げたい考え。シャープは関連ビジネスの展開を狙う。

カラオケ業者も

 熊本地震の被災地、南阿蘇村の仮設団地に設けられた集会所では、NTT西日本と業務用通信カラオケの第一興商が高齢者の健康づくりを支援する取り組みを進めている。

 今年9月から、通信回線に接続したテレビを介してインストラクターとともに音楽と体操を楽しめるシステムを提供。さらに血圧計や歩数計などの日々のデータを、テレビ画面でチェックできるようにした。

 パナソニックと富士通はセンサーを使って、介護施設の部屋に入居者がいるかどうかなど状況確認できる仕組みを開発した。今年度、介護施設約10棟で導入したパナソニック子会社は「各部屋の見回りをする職員の負担を軽減できる」としており、藤沢市内の他社の施設にも採用された。

 家電製品同士が情報をやり取りするIoT(モノのインターネット)に関する研究開発は活発化しており、高齢者支援はさらに充実しそうだ。