タブレットで高齢者を見守り、登別市社協が試行

2016年1月14日室蘭民報


 登別市社会福祉協議会が昨年12月から、タブレット端末を使った高齢者の見守り・生活支援事業を試行している。在宅一人暮らし高齢者に端末を貸与、簡単な操作で就寝・起床や外出・帰宅などの情報を入力してもらい、変化がないかをチェックする仕組み。買い物支援機能も盛り込んでおり、事業化を目指し研究を進めている。同社協によると、タブレットを使った見守りサービスは全国、道内でもまだまだ少数という。

 見守りサービスの新たな仕組み構築が狙いで、介護保険制度改正により、今後専門職以外のサービスが適用除外となる要支援1、2の市民のサポートも視野に入れている。

 試行では、独居要支援1、2の市民ら60~80代の12人が協力。札幌の事業者が開発したシステムを活用、通信料は無料とした。事業費には道の交付金を充てた。2015年(平成27年)12月~17年3月の期間で課題を探る。

 緊急通報などの能動的なシステムと違い、利用者が端末に触らないことで変化を察知、安心安全につなげていくのが最大の特徴だ。

 タブレットには「回覧・おしらせ」「買い物」「相談」「ラジオ体操」「外出」「おやすみ」の六つのボタンだけが表示されている。

 たとえば「外出」を押すと、「帰宅」のボタンが表示され、帰宅時に押すと、出入りが分かる仕組み。「おやすみ」ボタンでは就寝と起床の確認が可能。

 端末に触れた情報は社協のパソコンで管理され、職員が1日3回チェック。押されているはずのボタンがしばらく放置されているなどの変化に応じ、本人確認を行っている。

 36時間、全く端末に触れられていない場合については、希望する利用者家族にメールで知らせるサービスも取り入れた。

 ボランティアの付き添い付き買い物支援機能もポイントで、「買い物」ボタンを押すと、「○日○時に○○店へ○店へのツアーを実施します」との文章が表示され、「はい」「いいえ」を押すだけ。

 ツアー店周辺の目的地で用事を済ますことも可能で、交通費など1回500円程度の実費を支払ってもらっている。12月に1度行ったツアーでは2人の参加があった。

 社協側からも端末にメールを送ることもでき、「お知らせ」ボタンで表示される。12月からの運用は特に課題もなく、順調に進んでいるという。

 担当する同社協地域福祉コーディネーターの柴田智行さんは「高齢者が端末に触ってもらえるかが心配でしたが『これならできる』と言ってもらえました」と手応えをつかんでいる。