NTT西日本 フリーWi-Fi整備加速 情報通信技術ICTで地方創生に貢献 和歌山支店・中澤輝仁支店長に聞く

2016年11月11日毎日新聞

 
 NTT西日本は最新の情報通信技術(ICT)を活用して和歌山フリーWi-Fi(ワイファイ)をはじめとしたスマート光ソリューションを幅広く展開し、和歌山県の観光振興や地方創生に大きく貢献している。また災害対策、地域貢献活動など地域に根差した取り組みを推進している。NTT西日本和歌山支店の中澤輝仁支店長に現状と今後の展望を聞いた。【聞き手は坂口佳代・毎日新聞和歌山支局長】

 -2015年度から県内で展開している「和歌山フリーWi-Fi大作戦」が既に当初計画の1500アクセスポイント(AP)を達成したとお聞きしました。状況を教えてください。

 15年7月から和歌山県は外国人観光客等の満足度向上を目指し、県内のWi-Fi環境整備を促進するため、NTTグループと協定を締結し、「和歌山フリーWi-Fi大作戦」と銘打ち、16年3月末までに1000AP、18年3月末までに1500APを整備する計画で進めておりました。

 和歌山県や各市町村、民間企業も含めて、誰もが簡単に無料で利用できるフリーWi-Fi環境整備の重要性をご理解いただき、当初の予定より1年半早い、16年9月末に1500APを達成することができました。他府県に比べてもWi-Fiスポット整備がいち早く進みました。これにより外国人観光客の満足度向上はもとより国内の観光客へのサービス向上、さらには若者を中心とした地域の新しい情報発信のツールとして大変便利にご利用いただいております。

 今後は、飲食店・小売店等でのお客様誘引ツールとしての利用方法に加え、学校等におけるネット接続、デジタル教材等の活用のための教育用ネットワークとしての利用、災害発生時のデータ通信用インフラ基盤としての役割、ご導入いただいた企業における従業員向けの福利厚生等を考慮した利用方法など、Wi-Fi環境をより便利にご利用いただけるよう普及活動を推進していきたいと考えております。今後も和歌山県と協力してさらに基盤整備を進めてまいります。

 -公衆フリーWi-Fiの利便性向上に向けた取り組みや、Wi-Fi環境を利用した活用事例や取り組み方針があれば教えてください。

 関西エリアにて16年10月1日から、より便利にフリーWi-Fiをご利用いただくために、関西広域連合にて「KANSAI Free Wi-Fi(Official)※」の運用が開始されました。このアプリを利用することにより、近畿、徳島、鳥取の8府県の自治体が提供する無料Wi-Fiアクセスポイント約1万カ所ではワンタップで簡単にWi-Fiに接続ができます。

 Wi-Fi環境の利用促進の取り組みとして、高野町にて観光アプリを16年4月1日から運用を開始しております。特徴といたしましては(1)専属ガイドが一緒にいるかのように観光・地域情報を配信、多彩な機能により丁寧な街歩き案内を実施(多言語対応)(2)SNSで感動を共有、口コミ集客を促す機能等を提供(3)地域住民の皆様に自治体から日常的な情報(平時使い)をお知らせするとともに、緊急時はアプリ利用者のスマートフォンにバナー表示され、避難情報等を配信(緊急情報も多言語対応)となっており、観光客だけではなく地域住民の皆様にも大変有意義にご利用いただけるサービスになっております。
 (※関西地域の自治体と経済界が中心となって推進する無料Wi-Fiの総称。)

 ◆災害対策

通信手段、HPで情報

 -発災時の緊急通信確保の仕組みづくりに力を入れているそうですね。

 11年の東日本大震災以降、NTT西日本グループでは12年度からの「防災3カ年計画」を通して、災害発生時に緊急通信手段として利用できる「公衆電話」、避難所等に設置する「特設公衆電話」の環境を整備してまいりました。また、和歌山フリーWi-Fi等の通信環境の整備によって、災害時にも活用できるよう対応し、より一層、ハード的に通信手段は充足されてきております。

 しかし、実際に災害が発生した場合、これらの設備は必ず使用できるという保証がないことから、緊急通信手段が「どこで、何が使えるか」という情報をタイムリーに発信することが必要という課題認識より、和歌山県をはじめとした、関連機関のご協力をいただきながら、ホームページを活用して発災後、可能な限り、速やかに情報発信いたします。災害発生時はNTT西日本のホームページをご覧ください。

 -地域貢献活動の一環として公衆電話の利用方法の発信に力を入れているとお聞きしましたが、どのような取り組みをされているか教えてください。

 近年、携帯電話の普及によって、公衆電話を利用する機会が減少する中、公衆電話を使ったことがない、使い方がわからない幼児、児童が増えています。また、保護者についても公衆電話を利用したことがないという声を耳にします。地域のイベント、防災訓練等において、そのような方々へ災害時に公衆電話が無料開放される仕組みであることや優先的に発信でき、171災害伝言ダイヤルも利用できることを説明し、実際に公衆電話の利用体験をしていただいております。先日もわかやま商工まつりで説明会を行い大変好評を得ました。

 16年3月に女子中学生が駅の公衆電話から110番し保護されたこともありましたので、災害時の利用方法だけでなく、事件事故発生時の公衆電話を活用した110番・119番通報する方法についても併せて説明しております。今後も地域に根差した地道な活動を行ってまいります。

 ◆光通信網、県内95%カバー

自治体と連携、高齢者見守りも

 -フレッツ光エリア拡大の展望について教えてください。

 和歌山における光サービスの普及状況、整備状況ですが、県の世帯数約44万世帯に対して、光サービスの施設数は16年3月末で120万回線となり、約4分の1の世帯にNTT西日本の光サービスが普及しています。

 光サービス提供エリアの拡大については、16年3月末に約95%までカバーしており、都市部のお客様には概ね光サービスをご利用いただけるよう整備しております。世帯数が一定数を下回るエリアでは自治体と連携して地方創生・活性化のために、光サービスの提供を進めております。15年度は田辺市本宮町の一部と紀美野町を観光整備や地方創生を目的に拡大しました。紀美野町では、住民サービスの向上、地域の活性化を目的に光通信網整備後のICT利活用に向け「買物支援」、「高齢者見守り」について町と共同で検討しているところです。

 今年度は17年3月に有田川町の五西月エリアで開局をします。このことにより有田川町は全域で光基盤の整備が完了することから、引き続き自治体が推進する地域活性化施策と連携してまいります。

 -フレッツ光サービスの品質向上に向けた取り組みをされていると聞いています。

 現在NTT西日本では「Bフレッツ(01年8月から提供)」、「フレッツ・光プレミアム(05年3月から提供)」、「フレッツ 光ネクスト(08年3月から提供)」を提供しておりますが、光サービスは段階的にセキュリティーや通信速度が向上していることから、「Bフレッツマンションタイプ」は17年1月末、「Bフレッツファミリー100タイプ」は17年11月末、「フレッツ・光プレミアム」は18年度第4四半期にサービス提供を終了し、より安心で高品質な「フレッツ 光ネクスト」へ一本化することで、光サービス基盤の統合を進めてまいります。

 対象のお客様に対しては順次サービス移行のご案内をしておりますのでぜひ、早期に移行のお手続きをお願いいたします。