東電系・日立・パナソニック、住宅用IoTで実験

2016年11月07日日経新聞

 
 東京電力ホールディングス傘下の送配電事業者である東京電力パワーグリッド(PG)と日立製作所パナソニックは7日、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」関連の実証実験を関東の住宅約110戸で始めると発表した。家電製品ごとの利用状況をリアルタイムで計測し、故障の予知や高齢者の見守り、省エネ助言などのサービスなどにつなげる。

 3社で事業の枠組みを構築して、警備など消費者向け事業を手掛ける企業にサービスの利用を呼びかける計画だ。住宅のほか店舗や工場での活用もにらむ。2017年3月に今回の実験を終えた後、実際のサービス提供事業者とさらに大規模な実験を実施。早ければ17年度中に実用化する。

 東電PGが外部技術を活用して開発した電力センサーで家電製品の電流や電圧を計測する。パナソニックの通信技術でデータを収集、送信し、日立がデータの蓄積や加工を担う。

 センサーは家電製品ごとに取り付ける従来の仕組みと異なり、分電盤などに1つ設置するだけで済む。電流の波形などからどの製品が使われているかを区別する。センサー価格は数千円単位になる見通しだという。

 電力センサーのほか温度や照度などを測る他のセンサーも組み合わせた多彩なサービス開発も目指す。電力自由化で参入した新電力の利用者もサービス対象からはずさないようにする。

 電力小売りを担当する東京電力エナジーパートナーもソニー傘下のソニーモバイルコミュニケーションズと、家電の遠隔操作による省エネや高齢者の見守りサービスなどを検討している。