QRコード 高齢者見守り・兵庫

2016年11月01日読売新聞

 
 神崎郡の福崎、市川、神河の3町は、徘徊のおそれがある高齢者をQRコードを使って見守る事業を始めた。高齢者の衣服や靴に付けたシールのQRコードをスマートフォンで読み取ると、各町の地域包括支援センターの電話番号が表示され、名前や連絡先を照会できる仕組み。3町を管轄する福崎署も「保護した人の身元確認が容易になる」と歓迎している。

 徘徊のおそれのある人を持つ家族が、各町の地域包括支援センターに、その人の氏名、普段の呼び名、顔写真、連絡先などの情報を登録すると、センターの電話番号が入ったQRコードと個別の番号が割り振られたシール10枚を無料でもらえる。シールは、徘徊のおそれのある人がよく着る衣服などに貼り付けておく。

 QRコードを使った見守り事業は、昨年6月、小野市が県内で初めて導入。同市によると、「写真が行方不明者の発見に役立った」「警察との連携が密になった」「新たな認知症患者の把握につながった」などの成果が出ているという。

 神崎郡の65歳以上の割合は、福崎町が27・1%、市川町33・7%、神河町33・8%。福崎署によると、3町内で認知症の疑いのある行方不明者の届け出は今年も10月末までに1人あり、2015年も1人、14年は3人あった。また、福崎町地域包括支援センターによると、徒歩で高速道路に入り込んだ人や、同町から十数キロ離れた西脇市まで歩いてしまった人もいたという。

 いずれも住民の通報などで保護されて事故には至らなかったが、高齢化が進む中、発生が増える可能性も高いため、隣接する3町で10月から一斉に導入した。

 福崎町地域包括支援センターの出口純子課長補佐は「早期発見につながり、家族が抱え込む不安を減らせる」と期待する。神河町健康福祉課の前田義人参事は「小さな町なので迷って隣町にまで行ってしまう可能性が高い。3町一斉のスタートなので、住民にもPRしやすい」と話している。