センサーで高齢者見守り 県立大 異常検知、医療機関に伝達・富山

2016年11月01日中日新聞

 
 県立大(射水市黒河)は十一月から、高機能センサーを活用した高齢者の見守りシステムの研究を始める。一人暮らしの高齢者に異常が起きた時に、検知して医療機関などに迅速に伝えて救命率を上げる。

 三十一日に松本三千人(みちと)副学長が記者会見して発表した。

 研究は総務省のSCOPE(戦略的情報通信研究開発推進事業)に採択され、同省から委託を受けて富山福祉短大(同市三ケ)と共同で実施、市が協力する。

 高齢者の部屋に複数のセンサーを設置し異常を確認する。電波で物体の動きを検知する非接触型のドップラーセンサーで高齢者の寝返りや呼吸などを把握し、圧力センサーと組み合わせて精度を高める。体温を検知するサーマルセンサーも設置。腕時計型の計測器の活用も検討している。

 データは地域包括支援センターに届き、緊急時にはすぐに医療機関に連絡できる体制を整える。データを基にした健康指導や、地域ごとの傾向の把握も狙う。病歴や薬歴などが書かれた「命のバトン」を電子化し、救急時には病院などへ提供して救命に役立てる。

 十一月中に市内のサービス付き高齢者住宅の一室に実験環境を整え、学生らが滞在して検証を重ねる。同じ建物に住む高齢者にも協力を求める。松本副学長は「孤独死の減少や見守りの負担軽減につなげたい」と話した。