スマホや通信ロボで独居高齢者を見守り!…関電子会社、歩数や行動を家族に通知 29年度からサービス販売

2016年10月18日産経新聞

 
 関西電力子会社の関電システムソリューションズ(大阪市)がスマートフォンと通信ロボットを使った高齢者の生活見守り支援システムを開発し、平成29年度から自治体向けに販売を始めることが18日、分かった。

日々の歩数や部屋の出入りなどの様子を離れて暮らす家族らに知らせ、健康状態や暮らしぶりが把握できるようにする仕組み。独り暮らしの高齢者が多い過疎地域を中心に需要が高まると判断した。

 同社は7月から、奈良県の山間部に位置する五條市、御所(ごせ)市、下市町、東吉野村の4自治体で順次、実証実験を行ってきた。

 独り暮らしをしている65~85歳の高齢者に対し、専用のアプリを入れたスマホと小型の通信ロボット(全長約20センチ)を貸与。アプリに備わった歩数計の情報を遠隔地の家族や自治体で働く保健師らに知らせるほか、通信ロボが屋内のドアに付けたセンサーと連動し、部屋を出入りする様子を伝える。

 これまでの実証実験で、利用者は「健康の話をするきっかけになった」(保健師)、「遠くに住む祖父母とのコミュニケーションを取りやすくなった」(家族)などと評価しているという。同社経営戦略本部ビジネスコンサルティング部の林口泰浩シニアマネジャーは「奈良県以外の山間部や過疎地でも導入を進めたい」としている。

 過疎地では徒歩圏内に店舗がないため、「買い物難民」になる高齢者も増えている。同社は食品や雑貨を売る移動販売車が高齢者宅の近くに来たことを教えるシステムも作る計画だ。
 政府の高齢社会白書によると、国内の65歳以上の高齢者がいる全世帯のうち、独り暮らしや夫婦だけの世帯の割合(平成26年)は56%と過半を占める。昭和55年に50・1%あった三世代同居世帯の割合は13・2%(同)に縮小した。

異業種からも参入

 高齢者の見守り支援サービスでは、さまざまな業種が参入を本格化させている。
 東京ガスは、ガスの使用状況を通じて高齢者の生活を確認できるサービスを展開。富士通は11月下旬、自治体や住宅メーカー向けに室内のセンサーで居住者の安否確認をするシステムの販売を始める。