親と自分のこれからの暮らし(1) 広がる「対話で見守り」

2016年10月06日ZAKZAK

 
 離れて暮らす親と、年を重ねていく自分。住み慣れた地域で暮らし続けるためには、周囲との関係が大切。中でも自然な見守りがあれば安心だ。機器による見守りはあるが、最近は直接、人同士をつなぐものが増えている。

 日本郵政の「郵便局のみまもりサービス」は、社員が月1回、見守りを必要とする人の自宅に行き、会話を通じて生活の様子を確認する。現在、全国13道都県の指定郵便局で実施中。エリア拡大も検討している。

 料金は30分1980円、60分2480円で、回数増にも対応可能。地域になじむ郵便局の人だからか、訪問を待つ人も少なくないようだ。

 週2回、10分程度の電話で状況を把握する会話型見守りサービス「つながりプラス」(株式会社こころみ)もある。初回訪問で顔見知りになった担当者から連絡があるのがポイント。内容は「聞き書きリポート」として、メールで家族に送られる。利用者の中心は75~85歳で最高齢は90歳。約4割は男性だ。

 「英会話教室に通い始めた」などの日常報告を楽しみにする人が多い。費用は入会金1万円、月8000円。入会金不要で当初3カ月間が月3000円のお試しキャンペーンもある。

 各自治体も尽力する。東京都は「高齢者見守り相談窓口設置事業」として、18区市町村71カ所(2016年9月)で対応中。港区では、介護保険などを利用していない一人暮らしの高齢者宅を看護師や保健師などの資格をもった相談員が、アポなしで訪れ、さりげなく様子を聞く。必要があれば地域包括支援センターなどと協力する。

 墨田区も見守り相談員が地域のボランティア協力員と協力し、閉じ籠もりがちな高齢者とゆっくり距離を縮めていく。過去には、返答がないため、警察や賃貸人とともに鍵を開けたところ、本人が倒れていたことがあった。救急車で病院に行ったことで大事に至らずに済み、見守りの効果が最大限に発揮されたケースだ。

 自治体にサービスがあるかは、高齢福祉課などに尋ねてほしい。

 ※料金はすべて税別