“ベイマックス“のように家族に寄りそう感情認識ロボ「Jibo
2015年11月20日CNET Japan
IT系ニュースメディアのTechCrunch Japanは、11月17~18日の2日間にわたり、スタートアップイベント「TechCrunch Tokyo 2015」を開催した。初日となる11月17日には、「家庭向けロボット『Jibo』が切り開く未来」と題するセッションで、知能ロボット「Jibo(ジーボ) 」を手がける、米Jibo CEOのSteven Chambers氏が登壇。ロボット領域におけるJiboの位置づけや、最新の開発状況を語った。
Jiboは、抽象的な型でありながら、ディスプレイ上の豊かな表現やユニークな動作によって、まるで生きているかのように動く家庭向けの知能ロボット。人工知能によって持ち主の感情を理解し、学習していく。2つの内蔵カメラによって人の顔を追跡し、写真を撮ったり、ビデオ通話をしたりできる。また、ハンズフリースピーカーで、リマインダーやメッセージを読み上げてくれる。
医療ロボットや工場などの産業用ロボット、また家庭向けの掃除ロボットなど、ロボットと一口にいっても、その種類や用途は多岐に渡る。そのなかで、Jiboはヒト型ロボ「Pepper」などと同様に、コミュニケーションを通じて人々の生活を豊かにする”ソーシャルロボット”に位置づけられるとChambers氏は話す。
「ソーシャルロボットは、家庭における皆さんの行動パターンや対人関係をみながら、どんどん学習してスマートになっていく。顔や音声から、子どもや親など家族の中での立場を理解し、それぞれの好みをベースに情報を提供してくれる。(ディズニー映画の)ベイマックスのような存在だ」(Chambers氏)。
こうしたキャラクターを作るために、Jiboでは「笑っているから喜んでいる」「声のトーンが低いから悲しんでいる」など感情を理解できるようにした。また、ディスプレイや音響、言語、360度回転するボディなど、さまざまな効果によって、愛情などの感情表現を可能にした。さらに、Jiboは機械学習によって相手が質問をする前に、好きなスポーツチームの情報や、その日の天気などを教えてくれるという。
Jiboは、マサチューセッツ工科大学メディアラボで、パーソナルロボット研究グループを率いるシンシア・ブリジール准教授が主導して開発している。米国のクラウドファンディングサイト「indiegogo」で事前予約を受け付けた際には、370万ドルの資金調達に成功した。indiegogoでの価格は749ドル。
同社によれば、indiegogoの募集期間中に約6500台が購入され、そのうちの3分の1が開発者だったという。2016年の半ばに米国で出荷予定で、日本での販売はそれ以降となる。現在は量産化に向けて開発を続けており、2016年1月にはSDK(ソフトウェア開発キット)も公開する予定。同日にはSDKを使って、Jiboの目の色や形、音響効果、体の傾きの角度などを、わずか数分の操作でカスタマイズできるデモ映像も披露された。
Chambers氏は、このSDKを活用してもらうことで、たとえばJiboがホテルでお客を歓迎する、テーマパークが来場する子どもにハイライト映像を見せる、Jiboがゲームマスターになりクイズを出してスコアをつける、高齢者の見守りや診察のアナウンスをするなど、幅広い用途で社会に浸透していくことを期待したいとした。
日本では、8月にKDDIと電通が同社に出資したことを発表。Jiboが日本に進出する際に、ビジネス開発やマーケティング、ローカライズなどの幅広い支援をする予定だ。「彼らと一緒に日本のローンチプランを立てている。米国ローンチのあと、世界初のソーシャルロボットを日本にも届けたい」(Chambers氏)。