「高齢者見守り」充実 日本光電やセコムが新サービス
2015年10月28日日経新聞
高齢者を見守るサービスが広がってきた。医療機器メーカーの日本光電は室内に置いたセンサーで活動の様子をチェックする新サービスを始め、警備会社のセコムは2~3年以内に女性や子どもも使える専用のウエアラブル端末開発に乗り出す方針だ。少子高齢化が進み、独居の年配者も増えてきた。日常の様子を把握したいという家族のニーズに対応し、安心できる暮らしを提供する。
自動体外式除細動器(AED)最大手の日本光電は「SUKOYAKA(すこやか)」を11月30日に開始し、見守りサービスに参入する。立つ、座る、歩くといった高齢者の行動を家の中にあるセンサーがとらえ、「活動度」として数値化する。数値は100段階に分かれており、専用サイトに毎日アップする。活動度が急激に下がった場合などは異常があった可能性があるとして、家族にメールで通知する。
センサーはペットボトル大で、室内の温度や湿度も測ることができる。夏場で蒸し暑ければ家族が熱中症にならないように注意をするといったことも可能だ。外出時に身につける活動量計もセットになっており、料金は初期費用が8万9800円(税別)、基本利用料は毎月2980円(税別)にした。
ヤマダ電機で取り扱い、10月30日から予約の受け付けを始める。機器の設置などはヤマダが担当する。日本光電の製品は病院向けが9割強を占め一般消費者向けは弱かった。生体情報モニターなど主力製品の国内販売は頭打ちで、消費者向けサービスを拡充する。
セコムは2~3年以内に見守り用のウエアラブル端末を開発する。細かい仕様は今後詰めるが、腕などに装着できる小型タイプにする。居場所の確認はもちろん、脈拍など体調の変化の確認や警備員の派遣要請、通話などの機能を備えることを検討している。
同社は介護大手のツクイと組み、10月から24時間体制で高齢者を見守るサービスを始めた。ひもを引くとセコムにつながる端末を使い、夜間などに高齢者から緊急連絡があれば自宅に警備員を派遣する。サービスに利用する機器も高度化することで、高齢者や家族の多様な要望に応えていく。調査会社のシード・プランニング(東京・文京)によると、高齢者の見守り・緊急通報サービスの市場規模は2014年に142億円で、25年に227億円に拡大する見通しだ。