【ひろしまIT総合展】広島市、咀嚼による高齢者見守りシステムを展示
2015年10月23日RBBTODAY
「ひろしまIT総合展」の公共&アカデミックゾーンには「産官学医連携」として広島市も出展している。広島市が広島市民病院、広島市立大学医療ロボット研究所と共同研究しているのは、咀嚼データを利用したウェアラブル端末による高齢者見守り支援システムだ。
高齢者を見守る方法は、高齢者が身につけるワイヤレスイヤホン。集音機能も備えたこのイヤホンは、咀嚼など口の動きのデータを、外耳道の動きから感知する。また、同時に脈拍や表皮温も測定できるので、総合的な生活リズム・生体データも集積することができる。このデータはスマートフォンのアプリを通じて一旦クラウドに集められ、対象高齢者の位置情報、緊急通報、健康情報が家族や民生委員などに送られて、一人で暮らす高齢者の健康状態や生活状況をリモートで把握することができるというシステムである。
この日展示されていたのはいくつかの試作品と、スマートフォンアプリ。咀嚼と脈拍がグラフ表示される内容だが、食事時の咀嚼の回数などが減れば、なんらかの問題が生じたと判断される。
「官」である広島市のものづくり支援課が、「学」「医」に加え中国放送やNSウェスト、コア 中四国カンパニー、エフ・ウェイ、シャープなど5社の「民」をも巻き込んで主導するプロジェクトであるが、「広島では自動車産業をベースにしたものづくりが盛んだが、安定感がない。その点医療分野のものづくりであれば安定していて、なおかつ地域の市場活性にも貢献できる」と担当者は話す。
現在はウェアラブルということを考慮して、身近なところで実証実験を繰り返しているとのことだが、一番の課題はその大きさ。「高齢者が眠るときでも気にならずに身につけていられるもの」としてどこまで小さくできるかという点を今後さらに研究していくとのことだ。