高齢が理由でペットを愛護センターに 殺処分の可能性も

2015年10月10日週刊朝日

 毎年5万人を対象に犬や猫の飼育実態調査などを行っている一般社団法人ペットフード協会は、高齢者を中心に「犬を飼って散歩にいく人」と「ペットを飼っていない人」の健康寿命(日常的に介護を必要とせずに自立した生活ができる期間)を調べた。すると、男性は0.44歳、女性は2.79歳も健康寿命が長いことがわかった。

 同協会名誉会長で、人とペットの幸せ創造協会会長の越村義雄さんは、ペットと暮らす効果や効用について、こう説明する。

「女性は高齢期に関節炎などを患う方も多いですが、犬との散歩で予防できているのかなと推測します。ペットがいる生活では自然に言葉や笑顔が出て、責任感も出ます」

 越村さんによれば、ドイツやオーストラリアなど海外では、犬や猫との生活で医療費の抑制が報告されているという。アメリカの調査では、犬を飼っていない人は年間通院回数が10.4回だが、飼っている人は8.6回で済んだそうだ。

 高齢者にとって、ペットは癒やしの対象で、元気のもとになる心強い存在だ。けれどメリットばかりではない。とくに一人暮らしだと、心配も出てくる。

 飼い主が入院したり死亡したりして、ペットが取り残されるケースが相次いでいるのだ。

 奇跡の“救出劇"もある。東京都港区の赤坂動物病院。今年7月、2匹の衰弱した小型犬が運ばれた。一人暮らしの初老女性が孤独死して、室内に取り残されたのだ。発見は1週間後。猛暑続きの中、普通なら命は持つはずがない……だが犬たちは生きていた。

 「現場に入った方の話では、フードの袋や食品が部屋中に散乱していたそうです。エアコンがつけっぱなし、でもそれで熱中症を免れたのでしょう」(柴内裕子総院長)

 孤独死に巻き込まれて死んだり、保健所(動物愛護センター)に収容されてやむなく殺処分されたりするケースもある。環境省によれば、2013年度に迷子や飼えなくなってセンターで殺処分の対象になった犬猫は約12万8千頭いた。

 東京都動物愛護相談センターの担当者は、

「動物が持ち込まれる理由の半数以上が飼い主さんの健康問題で、高齢の方が多い傾向」

 と話す。都では収容された犬や猫の状態に応じて譲渡を行うが、動物をセンターに持ち込もうとする飼い主には、「まずは新しい飼い主を自分で探してください」と説明し、やむを得ない状況で引き取る場合は、殺処分の可能性があると伝えるという。