高齢者安否 “カメ"が報告 徳島
2015年9月27日読売新聞
美波町のIT企業「サイファー・テック」は、今夏実施した大学生らによるインターンシップ(就業体験)で、インターネットを使って一人暮らしの高齢者の安否を確認する装置「みながめ」の開発に取り組んだ。まだ試作段階だが、学生は「ITの力で地域が抱える課題解決に役立てたい」と意気込んでいる。(山上高弘)
◇美波の企業 触れた時刻や音声察知
「みながめ」は、同町の観光資源である「ウミガメ」のぬいぐるみに、触覚や音声、温度に反応するセンサーや小型カメラを搭載。室温が、熱中症になりやすいとされる29度に達すると、手を振ったり、鳴いたりして注意を促す。高齢者がぬいぐるみに触れた時間や録音した音声などを、家族らのスマートフォンに送る。
同町は2010年、6人に1人の65歳以上が単身世帯。今年8月5~13日に県内や東京、京都などから同町を訪れた大学生、専門学校生ら計9人は、県職員からの聞き取りや地元住民との意見交換会をする中で、一人暮らしの高齢者が増えて安否確認がままならない課題の深刻さを感じ、装置の開発を思いついた。
参加した東北大大学院1年、持丸裕矢さん(22)は「過疎、高齢化は想像以上だった。お年寄りと遠く離れた家族とをつなげるのにIT技術を生かせた」と手応えを感じている。
同社のインターンシップは12年から毎年実施。昨年は、津波からの疑似避難体験ができるスマートフォン向けの防災アプリを開発した。同社は「過疎化などの課題解決にIT技術を活用できる人材育成にこれからも取り組みたい」としている。