電気使ってない…「ちょっと心配」 独居高齢者 生活見守り

2015年7月31日中日新聞

 NTTコミュニケーションズ(東京)は三十日、家庭での電力使用状況で一人暮らし高齢者の活動状況を判定し、離れて暮らす家族に知らせる新しい見守りサービスの検証を金沢西病院(金沢市)と共同で八月から始めると発表した。カメラや家電機器利用状況などによる見守りはあるが、エネルギー利用状況を基にするサービスは珍しい。検証結果を基に機器やアプリを改良し、来春からサービス提供する予定。

 新サービスは、家庭の分電盤にセンサーを設置し、利用電力の変化から睡眠、外出、在宅活動という三つの生活リズムを判断、スマートフォンの専用アプリに現在の状況を配信する。十二時間以上続けて電力使用に変化がない場合は「ちょっと心配」などのメッセージが通知される。

 高齢者はボタンを押したり、通報したりするような操作は必要ない。監視用カメラや体に機器を着用するのではなく、「見張られている」ような心理的負担もなくなる。

 検証は来年二月まで金沢市内だけで実施。病院の紹介を受けて高齢者世帯にセンサーやネットワーク接続機器を設置。センサーの測定間隔、アプリの表示方法などを検証する。一定のデータ量を収集したいNTTコミュ社と、地域での医療、介護を手がける病院の取り組みが合致した。

 新サービスはセンサーなど初期費用で一万円程度、月額利用料は千円程度となる見込み。同社は将来的に病院や警備事業者、配食事業者などと連携し、健康状態の基礎データや食事・運動データなども含めた分析で、より精度の高い見守りの提供を検討する。 (曽布川剛)