住人同士で助け合い 広がる高齢者の見守りサービス
2015年7月23日夕刊フジ
『高齢社会白書』によると、一人暮らしの高齢者に「日常のちょっとした用事を頼みたい相手」を聞いたところ、男性は子供の有無に関わらず「頼りたいと思わない」が半数超となった(『高齢社会白書』2015年6月)。
高齢化がさらに進む中、子供がいるいないにかかわらず、社会的に孤立しやすい人をなくす環境が必要だ。
そんななか、多くの人が集まって住むマンションは以前、「隣の人を知らなくても生活できる」と言われてきた。しかし、最近では、狭いエリアに多くの人が住んでいるからこそ、「プライバシーを保ちながら助け合える」という面に注目が集まっている。
関東地方のあるマンションでは、週3日、集会室を高齢者に開放している。利用料は無料。マンションに居住する人が有償ボランティアを務め、集まった人の話を聞く。ボランティアは聞いた話を漏らさないよう、確認し合っているため、訪れる人も安心して人に言えないことを心おきなく話せる。
東京都の別のマンションでは、月2回、囲碁や将棋、カラオケ大会を開催している。高齢の男性でも顔を出しやすいよう内容を工夫した。妻を亡くした男性が部屋にこもりきりになっていたが、ここで知り合いができ、自治会の活動にも参加するようになった。
別のマンション。以前から居住者が有償で、順番に管理員や清掃員を務める自主管理方式を採用している。居住者同士も全員が顔見知りだが、それでもお互いのプライバシーには踏み込まない状況を守ってきた。
ただ、住民が高齢になり安否確認が重要になってきたことから、朝、その日の清掃員が建物内を清掃するついでに、各戸の電気メーターをはじめ、玄関ドア回りを確認するようにしている。新聞がたまっていたり、電気メーターのまわり方が早かったりすれば要注意だ。
賃貸住宅でも対応が進む。UR都市機構では、高齢化対応として一部の団地において、自治体、地方公共団体、NPO法人などと連携して見守りサービスに取り組んできた。今後、すべての団地において基礎的な見守りサービスの提供を検討中だ。