パナソニックと富士通、温度と生体センサーで高齢者住宅の見守りを実験

2015年6月26日IT pro

 パナソニックと富士通は2015年6月25日、高齢者向け住宅の温度・湿度や入居者の生活状態をセンサーで取得して介護に役立てる実証実験を2015年6月から共同で開始したと発表した(図)。

 両社のセンサーがそれぞれ取得した情報を組み合わせることにより、入居者が部屋にいるのに温度が高すぎるため熱中症の危険があるといったことを検知できるようになる。実験期間は1年間で、2016年度中に実サービスの提供を目指す。

 実証実験は、パナソニックグループが2015年6月に開設した高齢者向け住宅「エイジフリーハウス豊中庄内栄町」(大阪府豊中市)で、2015年6月から1年間実施する。入居人数は20人(20室)。介護職員は、建屋内にある事務所からパナソニックのクラウドサービスにアクセスして入居者の住環境や生活状態を把握し、リモート制御で温度を変えたり、部屋を見に行ったりといったアクションをとる。

 住環境のセンサーには、パナソニックのクラウド対応エアコンを利用する。温度と湿度をクラウド上で把握できるほか、クラウドを介してリモートからエアコンの温度設定などを変えられる。一方、生活状態のセンサーには、富士通の非接触型生体センサーを利用する。マイクロ波レーダーの照射によって3メートル範囲の微細な体動量(体の動きや心拍など)を検知し、入居者がどのような状態にあるのかを把握する。

 生体センサーが収集した体動量のデータは、富士通のクラウド「生体情報分析クラウド」でいったん分析し、入居者が部屋にいるかどうかと睡眠/覚醒状態(寝ているのか起きているのか、入眠時刻、起きた時刻)の二つの状態データとして、パナソニックのクラウド「高齢者見守りサービス」に通知する。高齢者見守りサービス側では、富士通のクラウドから得られた入居者の状態データと、エアコンから得られた温度・湿度のデータを合わせて分析する。

 介護職員は、高齢者見守りサービスを介して、入居者の生活情報をモニターで確認できる。入居者ごとにアラートのしきい値を設定したうえで、例えば、在室時の熱中症危険温度や、睡眠中の高頻度な覚醒状態などを検知し、個人の生活パターンに即してアラートを通知できる。さらに、入居者の生活状態に応じて空調を自動制御する仕組みも提供する。