さかた見守りくん:認知症お年寄り不明防止へ Wi−Fi介し見守り 酒田でシステム実証実験 /山形

2015年6月17日毎日新聞

 小型の電波発信端末と受信機、公衆無線LAN(Wi−Fi)などを組み合わせた地域見守りシステム「さかた見守りくん」の実証実験が、酒田市八幡地域で始まった。認知症のお年寄りらが徘徊(はいかい)で行方不明になる危険性を未然に防ぐ狙いで、7月31日まで実施する。全地球測位システム(GPS)などを利用する従来の検索方法に比べて手軽で安価なのが特長。将来の本格導入に向け、システムの有効性や使い勝手などのデータを蓄積する。

 電波端末を携行した認知症の高齢者が出歩くと、行く先々の商店や公共施設など11カ所に設置した受信機が端末からの電波を感知する。その時刻などの情報がWi−Fiを介してサーバーに送られ、あらかじめ設定した高齢者の日常生活圏を外れるとメールで家族に自動送信され、位置情報が伝わる仕組み。インターネットプロバイダーサービスなどを手掛けるキャプテン山形(山形市)が鶴岡高専(鶴岡市)とともに開発。NTT東日本山形支店(山形市)が協力した。

 高齢者のいる八幡地域の12家族が協力する。今月4日に市八幡総合支所であった実証実験の開始式では、関係者約30人が出席した。鶴岡高専の加藤靖校長が「ぜひ成果を上げ、全国のモデルケースにしたい」とあいさつ。丸山至副市長がパスワードをパソコンに打ち込んでシステムを起動させた。

 その後のデモンストレーションで電波端末を持ったキャプテン山形の社員が同支所を出ると、設置された受信機の前を通過するたびにパソコンに情報が次々と入るとともに、家族の携帯電話に見立てたタブレットに位置などを知らせるメールが届き、システムが正常に稼働していることが示された。

 同市の岩堀慎司健康福祉部長は「徘徊は繰り返すケースが多く、家族は大変な思いをする。今回の実験がうまくいけば徘徊者のいる場所を一定のエリアで特定でき、早期発見、保護につながる有効な手段になる」と期待している。【高橋不二彦】