一人暮らしの親が心配 自治体のサービス活用する手も
2015年6月11日夕刊フジ
神奈川県に住むFさん(56)は、中部地方の山間部で暮らす母(85)が心配でたまらない。一人暮らしの母は「介護認定は受けたくない」とかたくな。だが、昨年、腰の痛みで1カ月ほど寝たきりになった。Fさんは仕事を数日休んで世話をしたものの、同じことが起きたら、もう対応できない。
親が介護保険の利用を嫌がることは少なくない。たしかに、「要支援2」「要介護1」と言われれば、「自分は終わりなのか」と思うのだろう。
そこで、検討したいのが自治体独自の高齢者向けサービスだ。介護認定がなくても、買い物支援や食事の配達、見守りなどを受けられることがある。制度の目的は、住み慣れた土地で自立して生活し、介護状態にならないよう予防すること。親もサービスに納得するかもしれない。
日常生活で、最低限必要な生活必需品の買物や掃除、洗濯などの援助を受けられるのが「高齢軽度生活援助事業」(名称は自治体によって異なる)。対象は、おおむね介護保険の要介護認定を受けていない65歳以上の単身世帯で、生活上の援助が必要な場合。自治体によっては2人暮らしでもOK。
たとえば、東京都調布市では、利用料1時間170円(週2時間限度)。兵庫県尼崎市では、外出時の付き添いや庭の手入れ、家屋・電気修理なども含まれ、週2時間以内で1回1時間以内250円だ。なお、自治体によっては、要支援1以上の介護認定が必要なこともある。
一人暮らしや昼間一人の高齢者に栄養バランスのよい食事を宅配し、合わせて見守りを行う「高齢者等配食サービス」もある。東京都立川市では、昼食か夕食の1日1食を週5日、1食あたり410円で配達する。やわらかご飯や薄味も選べる。
このほか、安否確認サービスを実施する自治体もある。
利用にあたっては、事前に身体の状態を調査するところもある。地域の高齢者関連の部署か地域包括支援センターに問い合わせたい。