日本郵便、高齢者の「みまもり」サービスを全国展開へ 2万4千局の人員を活用

2015年5月26日産経新聞

 日本郵政グループの日本郵便は25日、高齢者向けに試行している「みまもりサービス」の本格展開に乗り出す方針を固めた。7月から山梨県と長崎県の全域でサービスを提供するのに続き、年度内にも全国2万4000局でサービス提供態勢を整える。日本郵政は今秋、株式上場を予定しており、早期に利用者1000人以上を確保してサービスを黒字化したい考えだ。

 みまもりサービスは2013年10月から北海道、宮城県、岡山県など6地域で試行を始め、4月末で103郵便局、113人が利用している。山梨県の大月市、都留市、長崎県の対馬市でも提供しているが、7月から両県全域に拡大する。

 山間部の多い山梨県や島嶼(とうしょ)部の多い長崎県は利用者が計約50人と多く、全国展開のモデル地域として先行させる。年度内に過疎化や高齢化が進み、みまもりサービスの潜在需要が多い地域を中心に全国に拡大していく方針だ。

 日本郵便は当初、みまもりサービスの利用者数を年間600人と見込んでいたが、6分の1程度にとどまっている。本格展開に向けて、月額1080円で月1回の訪問という画一的なサービス内容の見直しに加え、「大都市に住む子供世帯への働きかけが重要」(都留市・東桂郵便局)と判断。サービス拡充に乗り出す。

 具体的には、買い物支援のための商品カタログや薬品斡旋(あっせん)など付加価値サービスを増やして割安感を高める。さらに、月1回の訪問回数を2回、3回など選択できるようサービスメニューを増やす。サービスを提供するのは職員が数人の小規模郵便局が多い。このため、高齢者宅訪問は窓口職員や日本郵便OBの活用などで頻度を高めたい考えだ。

 みまもりサービスは、高齢者自身より、大都市圏に住んで親の安否を心配する子供世帯の需要が多いため、東京都や福岡県などでPR活動を展開。申し込み受け付けは窓口に限っているが、新たにコールセンターを設置し、インターネットや電話による受け付け態勢を整える。

 日本郵政グループは米IBM、アップルと提携して10月からタブレット型端末約1000台を配布して新たな高齢者向けサービスの実証実験を実施する。7月から現行のみまもりサービス利用者層を広げ、実証実験と連動したサービス品質を向上。年内にも1万局、年度内には全国2万4000局で対応可能にする。