コミュニケーションロボットによる介護 高齢化社会の救世主となるか?

2015年3月29日Economic News

 高齢化が進んでいる。これに伴い、様々な問題が発生しているが、最も難問と言えるのが介護の問題だ。介護の問題は、高齢者をかかえる家族や近親者に経済的な負担だけでなく、体力的、精神的にも多大な負担をかける。そこで、コミュニケーションロボットが人間と同じように介護ができるとしたらどうだろう。

 NTTデータ<9613>と社会福祉法人東京聖新会、一般社団法人ユニバーサルアクセシビリティ評価機構は、東京聖新会が運営する東京都西東京市の特別養護老人ホームにおいて、コミュニケーションロボットによる高齢者支援サービスの実証実験を25日より開始したと発表した。

 実証実験では、特別養護老人ホームに入居している高齢者を対象に、コミュニケーションロボットを活用した介護支援サービスの実現可能性を検証する。コミュニケーションロボットが利用者と直接対話を行い、利用者の音声データは生活環境に設置した離床センサー、人感センサーのデータとともに、NTTデータが研究開発中のクラウドロボティクス基盤にネットワーク伝送される。

 クラウドロボティクス基盤では、収集したデータを統合的に解析し、利用者の生活状況を認識する。さらに、NTTメディアインテリジェンス研究所の高度な音声対話技術によって、利用者とコミュニケーションロボットの対話促進や声がけを行う。これら機能から介護支援サービスとして安否確認や転倒予防、服薬確認等の見守りを行う。

 今後、この実証実験の結果をもとに、在宅や施設で生活する高齢者を対象とした見守りや健康管理、認知症早期発見等の高齢者支援サービスのソリューションを実用化し、日本国内への展開等を通じて、地域包括ケアシステムの構築を推進していくとしている。

 日本は世界で最も高齢化が進行しており、65歳以上の人口比率はすでに25%を超え、2035年には3人に1人が高齢者という状況が予想されている(国立社会保障・人口問題研究所の推計)。また、今後認知症高齢者のさらなる増加も予測されている(厚生労働省「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」)。

 このような背景から、今回のような情報技術やサービスロボットを活用して、地域全体で高齢者世帯を見守りつつ、介護事業および介護予防事業を実施する取り組みが検討され始めている。果たして、ロボットが介護問題の救世主になれるか?今後の展開に期待したい。(編集担当:慶尾六郎)