アリは「独りぼっち」になると何も食べずに死に急ぐことが判明
2015年2月8日らばQ
人間社会においても独身者の平均寿命は短いことが判明しており、また、孤独死なども大きな社会問題となっています。
アリの世界でも、群れからはぐれて「独りぼっち」になると、死に急いでしまうことが研究により明らかになったそうです。
Lonely ants die young and hungry ? News in Science (ABC Science)
群れで暮らすアリが孤立して1匹だけになると、どの様な変化が起こるのでしょうか。
孤立したアリは食物を摂取してもきちんと消化する事ができず、歩き続けるために早く死を迎える事が、研究により明らかになりました。
科学者たちは、社会的動物(人間も含む)が社会から隔離されたときに受ける悪影響を、以下のように検証しています。
クロオオアリの労働者アリ(働きアリ)を検体として、その相互作用を4つのシナリオに分けました。
1.1匹の孤立させたアリ
2.2匹のアリのグループ
3.10匹のアリのグループ
4.3~4匹の中型の幼虫と一緒にした1匹のアリのグループ
その結果、孤立させたアリは6日目までしか生きられず、グループで過ごしたアリ達は最高66日間生きたと、アレッサンドロ・クレスピ博士は生物誌に報告しています。
労働者アリは常にグループで行動する生き物であり、孤立して1匹になると、行動やふるまい方がわからなくなることを示しています。
「社会から隔離されたアリは、通常よりもはるかに休みなく歩き続け、非常に高い活動量を示した」と、研究共著者ローラン・ケラー博士(ロザンヌ大学の昆虫学者)は述べています。
「孤立したアリの死を早めたのは、十分なエネルギーなしに歩き続けた事にあり、活動量が高まった結果、さらなるエネルギー不足に直面した」と、研究共著者である東京大学のKoto Akiko博士は説明しています。
さらに「孤立したアリも彼らの巣で得られる食物と同じ量を摂取する。しかし孤立しているアリはグループのアリと比べ、消化管によって完全に消化する事ができない」とも付け加えています。
人間でも精神的ダメージを受けると食欲をなくしたり、自暴自棄な行動に出てしまうことがありますが、アリの世界でも似たようなことが起こっていたとは興味深いですね。