サービス付き高齢者住宅、自治体の半数が問題視 厚労省調査
2015年1月14日日経新聞
バリアフリーの住まいでスタッフが安否確認などを行う各地の「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」などを巡り、運営事業者が不要な介護保険サービスを提供したり、自社の介護サービス利用を入居の条件にしたりする事例が横行している疑いの強いことが、13日までの厚生労働省の調査で分かった。監督する自治体の半数以上が、こうした事態を問題視していた。
厚労省がサ高住など老後の住まいについて、自治体を対象に全国調査したのは初めて。介護サービスの内容は入居者が自由に選べるのが制度の特徴だが、同省は背景に、自社や関係業者に利益誘導しようという事業者の狙いがあるとみている。
厚労省は昨年7月から8月にかけて、サ高住と住宅型有料老人ホームの指導・監督権限を持つ都道府県と政令市、中核市の110自治体にアンケート調査を実施し、全ての自治体から回答を得た。
同省によると、調査結果では、入居者が施設への入居契約とは別の契約を結ぶことで、家事援助や入浴回数を増やしているといった過剰なサービス提供が疑われるケースについて、50%以上の自治体が「課題がある」と答えた。
運営事業者が、自社の提供するサービスの利用を入居の条件にしているかどうかについても、同様に回答した自治体が50%以上を占めた。入居者によるサービス内容の自由選択を阻害しかねないこうした行為の中には、契約書に特定の介護事業者の利用を明記したり、自社の介護サービスを利用すれば家賃を割り引くとうたったりしたケースもあった。
厚労省高齢者支援課の担当者は「悪質な事業者には、速やかに改善命令を出せるよう自治体に促すなどして、事態の改善を急ぎたい」としている。