スマホで外出中の来客応対 西電通がオートロックシステムを開発、低コストも売り物に/大阪

2014年12月24日産経新聞

 防犯システムの西電通(大阪市中央区)は、マンションの集合玄関での来客確認やドアの解錠をスマートフォンでできるシステム「てれあ~く」を開発した。インターネット回線を通じて操作するため導入コストを抑えられるのも利点で、オートロックのない中古マンションなどのリノベーション需要を見込む。

 システムはマンションの集合玄関に専用のインターホンを設置し、住民のスマホの電話番号と部屋番号を連動させて登録。訪問客や宅配便などの業者がインターホンに部屋番号を入力すると、ネット回線を経由して住民のスマホに連絡が届く仕組みだ。住民はスマホで来客者と会話するなどして相手を確認し、解錠操作を行う。会社や学校など外出先でも対応ができる。

 さらに高齢者の安否確認サービスもオプションで提供する。てれあ~くでマンションの出入りも管理できるため、1人暮らしの高齢者が3日間出入りしなければコールセンターから管理人に通報する。管理人がごみの収集日などの情報を住民に一斉送信するといった使い方も可能だ。

 ネット回線のほかにインターホン設置費用(約70万円)や集合玄関ドアの電気錠(約30万円)など、マンション全体で総額約100万円から導入できる。配線工事が不要のため、工事期間も短くてすむという。固定電話の場合はマンション全体で月額700円が必要となる。入居者はスマホさえあればサービスの利用が可能だが、通常管理組合などを通じて申し込むため、入居者にも応分の負担が発生する可能性がある。

 ただ、西電通によると、他社のシステムは室内に専用機器が必要で、電話回線を使うため毎回費用が生じることがある。配線工事に費用や時間がかさむ場合も多い。伊藤正幸社長は「システムが中心のため価格も抑えられる」とアピール。今年度末までに50件の受注を目指すが、11月の発売以降、全国から問い合わせが100件以上に上るなど反響を呼んでいるという。

 インターホン工業会の統計によると、戸建て向けも含めたテレビ付きインターホンの出荷額は増えており、平成25年度は654億円。新築マンション市場では大手がシェアをほぼ独占しているため、伊藤社長は「参入余地のあるリノベーション市場で勝負する」との方針を掲げた。ところが、その新築マンション向けでも、発売直後からデベロッパーからの引き合いがあるなど、需要が予想外の広がりをみせている。

 近年はマンションを終の棲家にする高齢者も増えており、伊藤社長は「防犯に加え、高齢者の健康を守ったり安心にもつながるビジネスにも進出したい」と意気込む。(伊豆丸亮)