【郵便局の挑戦】(7)「高齢者見守り」地道に拡大

2014年12月12日SankeiBiz


 富士山を間近に望む人口約3万3000人の街、山梨県都留市。国道139号沿いに建つ東桂郵便局は、総勢3人の小さな局だ。在任8年目の馬木典昭局長は、ある高齢者の家を定期的に訪問している。“総合生活支援企業"を目指す日本郵便が、全国6地域で試行している「みまもりサービス」の取り組みだ。

 同サービスでは、主に局長が利用者宅を毎月1回訪ね、困りごとの相談に乗ったり、健康状態の確認などをする。その際に「元気に暮らしているか」「知り合いと交流しているか」といった生活の様子を世間話の中で把握し、遠方で暮らす子供や親族に手紙で報告する仕組み。月額1080円で利用できる。

 また、体調を電話で毎日確認し、子供らにメールで伝えるオプションサービス(800円)も設けている。

 馬木局長が1年前から訪ねている女性(79)は、夫を亡くし、3人の子供と離れ一人で暮らしている。「去年、ひざの手術を受けて弱気になっていた頃にこのサービスを知り、申し込んだ」という。

 今はすっかり元気だが、馬木局長が自宅を訪れるのが毎月の楽しみだ。「身内でなく、よその人をお迎えすると気持ちにハリが出るわ」と笑顔で語るこの女性は、買い物のついでに郵便局に立ち寄り、おしゃべりしていくこともしばしばだ。

 馬木局長は常々、郵便の利用や貯金、保険の契約を確保していくには、自ら地域に溶け込んで顔見知りを増やしていくことが欠かせないと考えている。

 そのため普段からスポーツ大会やボランティア活動などさまざまな催しに顔を出しているが、みまもりサービスについては「利用者だけでなく、離れて暮らす子供世帯にもPRできる」と期待を掛ける。

 サービスの利用者は現在、6地域で103人と少ないが、全国展開に踏み切り、利用が大きく広がれば、郵便局OBの活用も検討するという。馬木局長は「郵便局が今後も『頼られる存在』であり続けるために、大切な事業として育てていきたいですね」と意気込む。