水道で高齢者見守り…利用把握し安否確認/岐阜
2014年11月27日読売新聞
岐阜県郡上市と同市のNPO法人「つくしん棒」、岐阜大学は25日、水道水の利用状況を把握することで、高齢者世帯の安否確認を行うシステム「KIZUKI」の本格運用を共同で始めたと発表した。
水道を利用した見守り事業は全国的にも珍しく、同市などは高齢者の孤立化を防ぎたいとしている。
「KIZUKI」は、1人暮らしの高齢者宅にある水道メーターに通信装置を取り付け、水道使用量を家族や地域住民に知らせることによって、安否確認を行うシステム。高齢者が朝起き、水道を利用すると、安全確認のメールが遠方で暮らす家族や地域住民に知らせる仕組みで、12時間以上水道の利用がない場合や、2時間以上水が出続けている異常発生時にも、同様にメールを送ってくれる。
郡上市によると、同市内の1人暮らしの高齢者数は約1600人。同システムの開発に関わった「つくしん棒」の佐野武理事長(42)は、同市環境水道部に勤務しており、高齢者の孤独死の現状などを知り、「生活に関わる水道メーターを使って見守りができないか」と思いついた。佐野理事長が東京都や長野県の電機メーカーなどにシステム案を相談し、協力会社を募って、開発が実現。昨年から実証実験を始め、今年8月から、市内の8世帯でモデル事業をスタートさせたという。
岐阜大学は見守り活動や地域コミュニティーの形成などに関わる研究面で、システム利用者の聞き取り調査などで協力する。
郡上市の担当者は「高齢化が近年急速に進んできている。高齢者の見守りや、親族や地域との連携を生み出すシステムとして、今後検証し、広めていきたい」と期待を寄せている。(古和康行)