遠隔監視で 高齢者見守る

2014年11月25日大阪日日新聞

 防犯カメラなどを製造、販売する「メリハット」は、福祉施設向けに遠隔監視で高齢者を見守るインターネット介護システム「みと~ね」を開発した。展示会への出品などを通じて引き合いが増えており、業界での浸透を目指す。

 同社は、警備会社向けの防犯工事を請け負うサービス会社から2009年に独立。防犯カメラメーカーとして事業に特化してきたが、福祉目的に生かせないかと昨年11月から介護業界に本格参入している。

 「みと~ね」は緊急時に備え、遠隔操作でパソコンやスマートフォンに送られる電子メールやアラームなどで高齢者の状況を知らせる仕組みだが、映像に音声が伴う点が特長。「ナースコールに映像が伴うとすぐに察知できる。万が一を防げるのではないか」と、営業企画部の奥崎功祐主任は自信をにじませる。

 優れているのは、一定時間、センサーで人の動きを感知しない場合に自動的にメールが転送され、集中管理できるという「お元気センサー」モード。就寝時や長期外出時には遠隔操作で動作を中止することもできる。一人暮らしの高齢者の安否確認ができ、マイクを通して通話することも可能だ。

 もう一点は「見守りセンサー」モード。玄関に設置することで、人の出入りを感知するとアラームと画像付きメールで知らせ、認知症高齢者が外出、徘徊(はいかい)することの抑止を狙う。また、家族やヘルパーの入室時はセンサーを止めることもでき、2種類のモードを昼夜で切り替えられる。

 画像は標準的なアナログカメラの倍以上に相当する102万画素。照度センサーで感知し、赤外線照射により人の目で見えない0ルクスの明るさでもモノクロで映像を結ぶことができる。また、温度センサーで遠隔から室温を管理することができ、設定した温度より室温が上昇した際には画像付きメールが届くなど熱中症防止にも適している。

 医療費や社会保障費負担が労働者にのしかかる、いわゆる「2025年問題」が迫る。厚生労働省の推計によると、急激な少子高齢化が進み、高齢化率が上昇、労働人口が減り続けた結果、25年には65歳以上の高齢者人口が約3600万人、うち認知症高齢者は約470万人に上るという。介護人材の人手不足は喫緊の課題だが、それをどう補うかのヒントになりそうだ。

 奥崎さんは「将来的には介護保険が適用できるようになれば」と展望する。