高齢独り住まい 公社が保証制度…神戸

2014年11月16日読売新聞

 神戸市の外郭団体「神戸すまいまちづくり公社」は、独り暮らしの高齢者が、市内の民間賃貸住宅に入居する際の連帯保証や安否確認をサポートする「こうべ賃貸住宅あんしん入居制度」の運用を始めた。民間事業者に委託し、終身の連帯保証や、入居者死亡後の家財片付け、安否確認などのサービスを有料で受けられる。こうした連帯保証サービスは全国でも珍しいという。

 2010年の国勢調査によると、65歳以上のお年寄りがいる神戸市内の24万2963世帯のうち、単身世帯は34%(8万4193世帯)で、20年前よりも10ポイント上昇。独居の高齢者世帯は増加傾向にある。

 市が2012年に行った調査によると、市内の民間賃貸住宅の貸主の4割が、高齢者との賃貸契約を「拒む」と回答。「家賃を毎月支払っていても、居室内で死亡事故が起こる可能性が高い」「連帯保証人がいないから」などの理由が大半を占めた。

 さらに、近年は悪質な業者が「連帯保証人を紹介する」とお年寄りに近づき、紹介料を詐取するなどのトラブルも相次いでいる。

 神戸すまいまちづくり公社は、お年寄りの不安解消のため、今年3月、支援制度を創設。5月下旬まで業者を公募し、警備や遺品整理などを担う全国7社を選定し、10月30日から、サービスを開始した。

業者に委託 安否確認や遺品整理も

 基本メニューは、賃貸契約の終身にわたる連帯保証(18万円)や、入居者が亡くなった後の家財道具の片付け(15万円~)、室内センサーが異常を感知した際などに事業者が駆け付ける安否確認(月額4000円以下)など。ほかに、葬儀の請負サービスや、年金停止、保険の返還など死後の手続き代行などもある。

 利用者は、同公社の窓口に相談し、貸主の了承を得た上で事業者や希望のサービスを選択。事業者の説明を受けた上で契約を締結し、利用料を支払う。新たに入居する世帯だけでなく、現在、入居中の世帯も利用できる。

 久元喜造市長は「神戸では阪神大震災で伴侶を亡くした方もおられ、社会的にニーズが高い。安心して暮らせるように政策面で後押ししたい」と話している。(浅野友美)

 問い合わせは、水・日・祝日を除く午前10時~午後5時に、同公社すまいるネット(078・222・0186)へ。